2021年に私が読んだ小説から、特に面白かった作品を10冊ピックアップ。
順位つけるの難しかったので五十音順です。
個別の感想記事書けてないものもありますが、このクソ忙しい年の瀬に仕事とバイト掛け持ち地獄の6連勤中なので仕方なし(´;ω;`)
- 1.【悪女について】有吉佐和子
- 2.【最後の医者は桜を見上げて君を想う】二宮敦人
- 3.【ジゼル】秋吉理香子
- 4.【毒見師イレーナ】マリア・V・スナイダー
- 5.【ドグラ・マグラ】夢野久作
- 6.【バビロン】野崎まど
- 7.【ぼぎわんが、来る】澤村伊智
- 8.【夢をかなえるゾウ4】水野敬也
- 9.【リカ】五十嵐貴久
- 10.【わたし、定時で帰ります】朱野帰子
- 2021年の読書総括
1.【悪女について】有吉佐和子
自殺なのか、他殺なのか。
突然謎の死を遂げた美貌の女性実業家、富小路公子。
生前の彼女と関わりのあった27人の関係者への、インタビュー形式で物語は進んでいく。
彼ら彼女らが思い思いに語る生前の富小路公子。
ある者は「あんなに優しい女は他にいない」と言い、ある者は「あの女は悪女だ」と言う。
果たして富小路公子とはどういう女だったのか。
そして彼女の死の真相は?
ある意味で、この一冊丸々「噂話で成り立っている」といっても過言ではない。
主人公であるはずの富小路公子は既に死んでいて、本当の彼女は一度も登場しない。
語り部たちは全員同じ女について語っているはずなのに、それぞれに人物像がまるで違うのが非常に面白くもあり、興味深くもある一冊。
みんな1つのものを見ているはずなのに、見る角度によってこうも現実が変わりうるなんて。
しかし良くも悪くも、富小路公子という女性が魅力的で人を引きつける人物であったことには間違いなさそうだ。
とってもオススメ!
2.【最後の医者は桜を見上げて君を想う】二宮敦人
余命宣告された患者に、死を受け入れ、残りの日々を自分らしく生きるように説く医者・桐子。
どんな状況でも諦めず、僅かな希望も捨てず、1秒でも長く延命し、治る可能性にかけるべきだと説く医者・福原。
正反対の信念を貫く二人の医者の間で思い悩む友人の医者・音山。
難病と診断され、余命が呈示された患者。その家族、友人。そして治療にあたる医療従事者。
生と死。人生。余命。
何が正しいのか。何が最善か。答えはあるのか。
“命”をテーマにした医療小説。
この小説は『感動させようとする小説が苦手』な人にもオススメ。
つまり、私!
闘病と愛情を絡めて強制的に読者を感動させようとする小説が苦手…というか正直嫌いです私。
そんな私がとても面白く読めた作品なので、強めに推していきたい。
普通に本屋で出会ったら絶対手に取らないであろう本書ですが、現在Amazonのプライムリーディング対象作品なんですね。
プライム会員の人は無料で読めるとゆー…。え、神なの…?
抗癌剤治療と言うのは簡単だけど、それがどれほどツライか知っている人は何人いるだろう?
延命治療の残酷さを知っている人は?
残りの人生、助かる確率、治療の壮絶さ。
すべてを秤にかけて、何を選ぶのか。
“命”について真剣に考えるキッカケになるかも知れません。
3.【ジゼル】秋吉理香子
東京グランド・バレエ団の創立15周年記公演の演目が、「ジゼル」に決まった。
しかしこのバレエ団では、ジゼルは15年前の事件の曰く付き。
当時主人公のジゼル役だったプリマダンサー、姫宮真由美が死んでいるのだ。
公演の準備を進めていく中、バレエ団では団員たちに不協和音が生じ、不可解な事件もおこりはじめる。
これらは15年前に死んだ姫宮真由美の呪いなのか?
悲劇の死の真相はどんなものだったのか?
一応ミステリーを謳っている小説なのですが、この作品の面白さはミステリーにあらず!!(※個人の感想です)
バレエ小説としてとても面白い一冊でした。
バレエを踊るということについて、ジゼルという演目について、理解を深める一助になる作品だと思います。
個人的には広く色んな人に読まれてほしい作品。
4.【毒見師イレーナ】マリア・V・スナイダー
死刑台へと向かう少女、イレーナ。
死まで秒読みとなった彼女に、幸か不幸か突然選択肢が与えられる。
最高司令官・アンブローズの毒見役になるか否か。
先日毒見役のものが死に、後継者が必要だという。
行動規範の定めにより、次に処刑される者が新たな毒見役の候補者となる。
引き受ければ一生辞められない仕事。
厳しい訓練と、次の一口で死ぬかも知れないという恐怖が常に付き纏う。
休日もなく、結婚も出産も許されない。
けれど、今死刑になることからは逃れられる。
過酷な運命を背負ったイレーナが、生き抜くために戦う壮大なファンタジー。
この小説のいいところは、翻訳小説なのに文章の違和感が一切ないこと。
いっそ感動的なほど。素晴らしい。
日本人の作家さんが書いた小説を読んでいるみたい。
つまり、物語の面白さを純粋に満喫できます。
この小説を読んで、私の中の面白い3大ファンタジーがついに全部埋まりました。それくらい面白い。
過酷で壮絶、長編ファンタジーが好きな人にぜひ読んでもらいたい作品です。
5.【ドグラ・マグラ】夢野久作
主人公と思われる『私』は、
ブウウ――――――ンンン――――――
という、蜜蜂の唸るような、柱時計の音で目を覚ます。
音がする前の記憶はなく、ここが何処であるかもわからず、自分が誰なのかさえわからない。
困惑していると、個室の壁の向こうから、突然女の声が聞こえてくる。
「お兄様、妾(あたし)です。お兄様の許嫁だった………あたしです…」
記憶のない『私』は、ここが九州大学の精神病科、第7号室であることを知らされる。
そして自分が、ある事件の重要参考人であるらしいことも知らされて――!?
これは…『面白かった』という分類でいいのか自分でもかなり葛藤がある選書ではある。
ある意味では面白かった。そしてとても印象深く、読書観が少し変わったような気がする。
『精神に異常をきたす』とまではいかないまでも、心に響く何かがあったのは間違いない。
さすが日本三大奇書。
【黒死館殺人事件】もKindleにダウンロードはしてあるんだけど、しばらくは読む気になれないと思うw
6.【バビロン】野崎まど
製薬会社がおこした薬機法違反を担当していたはずの主人公・正崎善検事。
しかし捜査の途中、因幡医師の不審死体を発見してから、おかしな事件へと巻き込まれていく。
全裸のまま恍惚の表情で死んでいた麻酔科医、なんの前兆もなく突然首を吊った捜査官、自殺法の可決と、64人もの集団同時飛び降り自殺。
見え隠れする怪しい女の影。
生と死、善と悪、モラルとインモラル。
正義を追い求める正崎は、どんな未来にたどり着くのか。
アマプラでアニメを観てハマり、原作小説にも手を出したわけです。
面白いです。はい。
既刊三冊なんだけど、続きはもう出ないのだろうか…。
ストーリー的にも一区切りついてしまっているし、出なさそうw
面白くて続きが気になったのと、先にアニメを観ていたのと、テーマが重い割に文章は読みやすいので、サクサクよめてあっという間に三冊読破しました。
“悪い人間”が、“自分は悪い人間なのだ”と開き直ったときの恐ろしさを是非知ってほしい。
7.【ぼぎわんが、来る】澤村伊智
“それ”が来たら、絶対に答えたり、家に招き入れたりしてはいけない。
会社員・田原秀樹の元に、突然の来訪者。
取次いだ後輩からの伝言は、薄気味の悪いものだった。
まだ誰にも公表していないはずの、もうすぐ産まれてくる娘・“知紗”の名前。
それ以降、周囲で不審なことが起こり始める。
おかしなメールや電話。原因不明の噛み傷。
高名な住職は関わる前に逃げ出し、除霊を引き受けた霊媒師は死んだ。
祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物は、本当に存在するのか?
総合してとても面白い一冊だったのだが、それはホラーというジャンルに偏ったものでははなかった。
この小説はホラー要素を抜いたとしても、登場人物が陰湿で面白い。
怪異よりも人間のほうが余程悍ましいという代表的な例だ。
最終的には3人の視点で物語を見ることができるのだが怪異を抜きにしても、
視点が変わると随分と現実も変わるようである。
『比嘉姉妹シリーズ』としてシリーズ化されているらしいので、いずれ続きも買い集めていきたい。比嘉琴子さん、結構好き。
8.【夢をかなえるゾウ4】水野敬也
大阪弁で、お笑いとあんみつが大好きなインドの象の神様、ガネーシャ(中身オッサン)。人間の願いを叶えるために、地上に降り立つ。
「自分、今の生き方やったら死ぬときめっちゃ後悔するで」
余命3ヶ月を宣告された平凡な会社員。
愛する家族のために選ぶのは「夢のかなえ方」か「夢の手放し方」か――。
いつの間にかもう4冊目。早いなぁ。
毎度お馴染み水野敬也さんの夢をかなえるゾウ。
4巻とはいえ、このシリーズは話が全て独立しているのでどこから読んでも問題は無い。
『小説形式の自己啓発本』と言われているけれど、難しいことは考えずに小説を読む気持ちで読めばいいだけ(信者)。
私は個人的に水野敬也さんの文章がすごく好きなので、このシリーズは私の推しの一つ。
読むだけで心が洗われる。疲れている時などは特に良い。
あと、今回はガネーシャ以上に死神がいい味出してるのでその辺もオススメ。
9.【リカ】五十嵐貴久
妻子を愛する平凡な会社員・本間(42)は、出来心で始めた出会い系サイトでリカと名乗る女性と出会う。
しかしこのリカが、常軌を逸したヤバい女で本間の人生が狂っていくお話。
リカがどんな風に常軌を逸しているのかを語ってしまうとネタバレになってしまうので深くは語らないけれど、常軌を逸しすぎて面白かったのでぜひ読んでいただきたい。
サイコスリラーと言っても過言ではない。
ホラーサスペンス賞受賞作らしいです。とりあえずリカが怖い。
10.【わたし、定時で帰ります】朱野帰子
東山結衣、32歳独身。
ソフトウェア会社に勤め、毎日定時に退社する会社員。
有給休暇をとらない同僚にも、育児休暇をとらない同僚にも、日々会社に泊まり込むように残業する同僚にも負けず、毎日定時で退社する日々。
そんな彼女に訪れるピンチ。
転職してきた上司が取引先の無理難題を引き受け、明らかにキャパオーバーなプロジェクトが組まれた。
結衣はそのプロジェクトのチーフになるよう要請される。
チームの生産性を超えたプロジェクトは無事納品に辿り着けるのか。
そして、残業を強要する上司にどう対抗するのか――!?
こちらもAmazonのプライムリーディング対象作品だったために読みましたが、想像以上に面白かった。
主人公のプロフィールが自分に似ているのもあり、とても楽しく読めた作品。
30代・独身・正社員・残業したくない・有給休暇は消化したい。
残業しないこと、有給休暇を消化することは意外と難しい企業が多いのでは?と思う。
仕事とプライベートのバランスを上手く取ること。これは豊かな人生に必須だと思う。
適切な比重は人それぞれだと思うけど、いかに自分の理想に近づけるか。
ちなみに結衣が婚約までいって別れた元カレは極度のワーカーホリックで、新しい彼氏は真逆の趣味を大事にするタイプ。
仕事だけでなくプライベートも興味深く面白かったです。
周りに引きずられずキッパリ定時に退社する結衣の姿は見ていて爽快なので、会社員にとってもオススメな一冊。
Amazonプライム会員の人は無料で読めるので是非。
2021年の読書総括
今年読んだ本は40冊くらい。
電子で短編のものもいくつか読んでいるので、そいうのもカウントに入れるともっと増えると思うけど…それでも文庫本に想定したら50冊はいかないと思う。
私は基本的に通勤電車の中でしか本を読まないので、その割にはまぁまぁ読んだんじゃないかな?
片道20分くらいだしね。
来年は50冊を目標にしようと思います!
おすすめの本があればいつでも教えて下さい(*ノω・*)
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れさまでした!