どんなに厳しい規律を課しても、平等なんてありえない。
仮にその規律自体が平等だったとしても、すべての人が平等に規律を守るとは限らないからだ。
それ故に、“平等”の形は1つではなくなってしまうのだろうと思う。
過酷な運命に立ち向かえ!【毒見師イレーナ】
ある殺人を犯した罪で死刑囚となったイレーナ。ついに絞首台へと送られる日を迎えるも、そこで思わぬ選択肢を与えられる。今すぐ絞首刑か、それとも、国の最高司令官の毒見役になるか。だが毒見役を選んだイレーナを待ち受けていたのは、逃走防止の猛毒だった。かくして少女は毎日与えられる解毒剤なしには生きられぬ身体に。わずかな生きる希望に賭け壮絶な日々に立ち向かうが……。
『私の中の“3大ファンタジー”が、ついに埋まったかも知れない…』
読み始めてすぐにそんな考えがよぎるほど、最初から面白くて前のめりに読み切ってしまいました。
そして読み終わる前に、続刊をまとめ買い。
面白い小説は、長くその世界観に浸っていたくなる。だからストーリーが気になるとかよりも、長くその世界に没頭するために読み続けてしまいます。
これだから長編小説はやめられない(*ノω・*)
イレーナの運命が過酷すぎる
“人を殺したら絞首刑”
不公平で堕落した王政を、軍事クーデターがひっくり返す。
現在のイクシア領を治めているのは、最高司令官のアンブローズ。
彼は統治者として、【行動規範】という厳しい法律を作った。
人を殺せば死刑になるのが定めとなっている。
情状酌量はない。どんな時も、殺すなら殺される覚悟を持てということだ。
イレーナは、第五軍管区の将軍・ブラゼルの息子、レヤードを殺した罪で死刑囚となった。
ついに死刑執行日、絞首台へと向かうイレーナの前に現れたのは、イクシア領の防衛長官・ヴァレク。
「イレーナ、君に選択肢を与えよう。死刑か、最高司令官アンブローズの新しい毒見役になるか、どちらかを選びなさい。つい先日、最高司令官の毒見役が死んだから、後継者が必要なんだ」
【行動規範】によれば、毒見役に空席ができた場合、次に処刑される予定の者が埋めることになっている。
こうしてイレーナは即日の絞首刑を免れ、代わりに訪れたのは、毒を飲まされる日々。
訓練と称し飲まされる猛毒でのたうち回り、犯罪者として使用人に疎まれ、誰かがアンブローズの毒殺を目論めば次の毒見でイレーナが死ぬことになる。最高司令官の情報を欲する者に狙われ、ブラゼル将軍にも息子の敵として命を狙われる。
常に死と隣り合わせのイレーナが、まさに死物狂いで自分の運命を切り開いていく。
翻訳小説とは思えない文章の滑らかさ
読むときに気付いたんだけど、この小説、日本の作家さんが書いたものではないんですよね(笑)
【毒見師イレーナ】は、私のKindleの中で、3年も眠り続けていました。
最初に本作品を知ったのは、誰かの読書ブログです。面白かったと感想が書かれていたのを覚えていて、たまたまKindleのセールで見つけた時に、買っておいたんだったと記憶しています。そしてそのまま眠り続け、3年間存在を忘れていました。
シリーズ物だってことも知らなかったww
Kindleの積ん読を消化しようとデータを漁っていたら懐かしくも発見し、読み始めたら非常に面白く、なんでもっと早く読まなかったのかと後悔いたしました。
積ん読を消化するつもりが面白くて続刊を買い集めてしまい、結果的には積ん読が増える始末。なんてこった……(諦めモード)
海外作家さんの翻訳小説って、文章に独特の癖があったりして途中で違和感を感じたりするのですが、この【毒見師イレーナ】では一度もそういった違和感を感じず読み切ることができました。
翻訳者・渡辺由佳里さんのスゴ技ですね。【毒見師イレーナ】の面白さを損なうことなく日本人読者に届けていただき、ありがたい限りです。
よくよく調べたら、アメリカで様々な賞にノミネートされたり受賞したりしている作品のようで、そりゃ面白くないわけなかったわ。
面白いファンタジー小説を読んでみたい方、ぜひ手にとってみてください。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れさまでした!