毒見師イレーナシリーズ、やっと全巻読破したので全体の感想を語ります。
全巻読破!毒見師イレーナシリーズを語る
第一巻である【毒見師イレーナ】はKindleで購入しました。
セールだったのを偶然見つけて購入し、読んでみたら面白すぎて残りの5冊を慌てて紙で買い揃えた次第です。
毒見師イレーナの世界観
イクシアとシティアという2つの国が舞台となります。
始まりは北方の領土であるイクシア。
最初に主人公であるイレーナがいる国です。
イクシアは過去に王政が腐敗し、クーデターでひっくり返った独裁軍国家です。
国のトップは最高司令官であるアンブローズ。
その下が防衛長官(という名の暗殺者)であるヴァレク。
前王は魔術師だったため、アンブローズは魔術師を嫌い、イクシアから徹底的に排除しています(排除するのはヴァレクの仕事)。
領地は第1~第8の軍管区に分けられ、それぞれ将軍がトップに立ち治めています。
厳しい“行動規範”という法律が民を縛り、ひと目で職業や所属軍管区がわかるよう制服の着用が義務付けられている代わりに、全ての民にきちんと仕事が与えられ、生活に必要なものは軍がしっかりと配給してくれます。
一方、南に位置するシティアは魔術師も存在する温暖で自由な国。
軍ではなく議会が欠を採って国を治めています。
自由であるが故に貧富の差が目に付くシーンも…
二国は冷戦状態で、国境は簡単には超えられません。
シリーズ構成・読む順番について
本シリーズは全6冊構成。3冊ずつ2部に別れています。
一冊一冊にそれなりの厚さがあり、文字数も多いです。
【長編ファンタジー】が好きな人にはとってもおすすめ。
また、海外小説でありながら翻訳小説とは思えない、なめらかな文章が特徴です。
まるで始めから日本語で描かれていた小説みたい。
私自身翻訳小説が苦手なのですが、この作品に関してはそこが一切気になりませんでした。
イレーナ三部作・第一巻【毒見師イレーナ】
殺人を犯した罪により、死刑囚であるイレーナが絞首台に向かうところから物語は始まる。
ところが、イクシアの最高司令官・アンブローズの毒見役がイレーナより先に死に、運命が変わる。
行動規範の定めにより、次の毒見役は次の死刑囚が候補者となるのだ。
死の直前、イレーナは突如毒見役の候補者となり、選択を迫られる。
今すぐ絞首刑で死ぬか、アンブローズの毒見役となり死の恐怖に怯えながら毒見をし、いずれは毒で死ぬか。
最低最悪の選択を突きつけられ、それでもイレーナは、運命に立ち向かう道を選び取る。
イレーナ三部作・第二巻【イレーナの帰還】
イクシアで死刑を宣告されていたイレーナだが、14年ぶりに故郷であるシティアに戻ることができた。記憶は無いが、家族との再会。
両親はわずか6歳で行方不明になっていた娘との再会を涙ながらに喜んだ。
ところがイレーナには兄がいた。そしてその兄が、一族中の前で言い放ったのだ。
「こいつは人を殺しているぞ。血の匂いがする」と。
一族内では“イレーナはイクシアの密偵”という噂が流れ始めて――!?
ついに、14年前の真実が明かされる!
イレーナ三部作・第三巻【最果てのイレーナ】
なんとかして敵対するイクシアとシティアの仲を取り持ちたいイレーナだが、常に誰かの陰謀がそれを阻む。
そんな中、イレーナの魔力が150年前に世界を恐怖に陥れた悪しき者と同じ《霊魂の探しびと(ソウルファインダー)》であることが判明し、人々はイレーナへの不信感を募らせる。
「《霊魂の探しびと》がいてはろくなことにならない。歴史を見ろ。《霊魂の探しびと》は力を求める。魔力。権力。人々の霊魂を操る力。おまえも例外ではない」
《霊魂の探しびと》とは、本当に人々が恐れるような能力なのか!?
霊魂の探しびと篇・第四巻【イレーナ、失われた力】
突如イレーナの魔力が失われた。
放たれた矢に塗られていた毒と関係があるのか!?
ヴァレクと離れ、魔力を失い無防備になったイレーナにさらなる追い打ち。
「ベン・ムーンがウィラル監獄を脱獄した」
シティア議会はなぜイレーナに事実を伝えないのか?
仕向けられた暗殺者から身を守るため、イレーナは必死に魔力を取り戻す方法を模索する。
霊魂の探しびと篇・第五巻【イレーナ、闇の先へ】
失われた魔力は戻らず、原因も解明されないまま、イレーナは危険と不安に晒され続ける。
一方ヴァレクは、長年苦楽を共にしてきた最高司令官との関係が拗れ始める。
イクシアとシティアは戦争を回避できるのか?
両国の裏で糸を引き、事態を操るのは誰なのか?
霊魂の探しびと篇・第六巻【イレーナ、永遠の地】
依然としてイレーナの魔力は戻らず、イクシアとシティアは《結社》に支配されようとしていた。
最高司令官は操り人形となり、シティア議会はすでに分解。
残された僅かな仲間と共に、最後の闘いに全てを賭ける。
イレーナの壮絶なサバイバル物語、ついに完結!
イレーナシリーズ全てを読み終えた感想
6冊って結構簡単に読めそうな気がしたんだけども。
一冊一冊が濃密で長い、重い(褒めてる)。
長編ファンタジー好きな人にはぜひ読んでいただきたい(二回目)。
あと、後半の《霊魂の探しびと篇》で面白いのは、イクシアの防衛長官であり暗殺者でありイレーナの恋人でもあるヴァレクの過去が明らかになること。
彼がどうやって完全無欠な暗殺者になったのか。
最高司令官・アンブローズとどのように知り合って、忠誠を誓う事になったのか。
彼の両親はどうなっているのか、など。
黒髪の碧眼なんて現実にはいないので、一体どんなイケメンなのかマジで気になる。
年齢設定が若すぎないところも気に入っている。
いつかアニメ化してほしい。R指定希望。
それからこういう物語を読むときって、終わり方が重要で。
まぁどんな終わり方が良いかは個人の好みなんだけれども。
前にもどこかに書いた気がするが、私は曖昧な結末や、読者のご想像にお任せします的な結末が好きじゃない。
このシリーズはその点がとても良かった。
終わり方も結構気に入っている。
例えば戦争をしている物語だったとして、戦争の決着がついたところで終わってしまうような物語は嫌なんだ。
明るい未来をなんとなく匂わせて終わられるのは嫌なんだ。
いや!最後にご褒美ないの!?その後の物語は!?!?ってなっちゃうんだ。
ちゃんとその後のことまでしっかり描いて欲しい。
欲求不満のまま放置しないで欲しい。
頼む……
終わり方も納得の物語は最高だよ。
余韻に浸れるし。
ところでアメリカで売られているこのシリーズには、《Glassシリーズ》と称してオパールが主役の物語もあるらしい。
いつか読みたいなぁと、想いを馳せていたりする。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れさまでした!