今週のお題「上半期ベスト◯◯」
今年もこの時期がやってきました。
半年に1回の決めゼリフ。
「時間が経つのが早い✨」
“僕はキメ顔でそう言った。”
2023年上半期のベスト本を10冊紹介します
今回はアッサリ10冊が選書された。
目星をつけた本を数えたらちょうど10冊だった。
珍しい。
面白い本が少なかったわけではないので理由は後述します。
1.『犯罪者』太田愛
なぜ、俺は殺されなければならないのか。しかも10日以内に。
白昼の駅前広場で四人が刺殺される通り魔事件が発生。
犯人は逮捕されたが、ただ一人生き残った青年・修司は奇妙な男から「逃げろ、あと10日生き延びろ」と警告される。
事件の真相を追ううちに浮かび上がってきたのは、巨大企業タイタスと幼児の奇病。
そして、ひとりの男の未曾有の犯罪計画だった。
本作で初めて出会ってドハマりした作家さん。
面白さにビックリ。経歴見て納得。
ドラマ『相棒』の脚本書いたりしてる方でした。
ミステリー要素あり、社会派なテーマあり、警察小説の要素もありで非常に満足な物語。
大手企業リコール問題の闇が垣間見えます。
上下巻でそれなりに肉厚ですが、ストーリーがテンポよく進むので先が気になって止まらなくなる系の小説です。
2.『何者』朝井リョウ
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。
光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。
瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。
だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。
こちらも初めましての作家さん朝井リョウさん。
初めましてが好みのタイプだったので驚いている。
地味なんだけど、人の内面が見えて、陰湿さが気まずさを感じさせる。
SNSっていうのは張らなくていい見栄を張ったり、言わなくていい本音を言ったり、思ってもいない思いが語られていたりする。
“想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める”
グサリと胸に刺さったので、自戒としてノートに書き留めておいた。
3.『正欲』朝井リョウ
自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。
息子が不登校になった検事・啓喜。
初めての恋に気づく女子大生・八重子。
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。
ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。
だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。
続けて朝井リョウさん。
偏った選書になってしまったけれど仕方ない。
なぜなら好みのタイプだったのだから。
多くは語りませんが“多様性”って、言うほど簡単ではないし、そもそも大半の人は理解できてないという現実を突きつけられます。
多様性には限りがない。多様性は無限。多様性は混沌。多様性は箇条書きにはできない。
「多様性を認める」なんて、きっと誰にもできない。(絶望)
4.『名探偵のいけにえ-人民教会殺人事件-』白井智之
病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。
調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。
奇蹟を信じる人々に、現実世界のロジックは通用するのか?
めっちゃ面白かった。さすが白井智之さん、外さない。
実際に起こった「カルト宗教集団自殺事件」をテーマに描かれるのですが、
カルト宗教で起こる異様な現象と、白井智之さん特有の特殊設定が相性良すぎた。
異様で奇妙な物語。
気になる方はぜひお試しください。
5.『方舟』夕木春央
9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。
タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
一時期TwitterのTLで話題になっていた一冊。
トロッコ問題を引き合いに語られたりもしていたけれど、実際の内容はそんな生易しいものじゃない。
もっと残酷で、もっと覚悟が必要で、もっと責任を伴う問題。
あと、私は本作の“犯人”が好きでした。
“犯人”に対して好意を感じたので、読後感がとてもよかったです。
6.『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成
成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。
最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。
内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。
嘘つきな大学生たちに見事騙された私。
浅倉秋成さんの小説は読者を楽しませるための仕掛けが凄いなぁ、と。
最後まで気になることが多すぎてページを捲る手が止まらなくなります。
映画化すると聞いたけど?
小説特有の仕掛けを映像でどう再現するのか気になります。
7.『傲慢と善良』辻村深月
婚約者・坂庭真実が姿を消した。
その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。
彼女は、なぜ姿を消したのか。
こちらもTwitterのTLで見かけて気になっていた一冊。
思っていた以上にグレーというか黒に近いくらいに暗澹たる気持ちにさせられる内容でした。
自分と親の関係を嫌でも思い出す。
「箱入り娘(息子)」という言葉があるけれど、それは褒め言葉なのか嫌味なのか…
自立とは何か、きちんと考えないと後々大変なことになりますね。
8.『化物語(物語シリーズ)』西尾維新
阿良々木暦を目がけて空から降ってきた女の子・戦場ヶ原ひたぎには、およそ体重と呼べるようなものが、全くと言っていいほど、なかった――!?
2023年上半期は物語シリーズにどっぷり浸かった半年間だったので、やはりこのシリーズは組み込まねばならない。
一応一作目のタイトルを載せるけれど、シリーズ通して非常に面白かった作品。
怪異×言葉遊び×下ネタ。
深刻なようで下品なのか、下品なようで深刻なのか…
煙に巻かれたような気持ちになることもしばしばありますが、約半年の間にシリーズ28冊を読み切ってしまうくらいにはとてもとても面白い作品でした。
9.『三体0 球状閃電』劉慈欽
14歳の誕生日の夜に“それ”に両親を奪われた少年、陳。謎の球電に魅せられ、研究を進めるうちに、彼は思いも寄らぬプロジェクトに巻き込まれていく。
史上最強のエンタメ・シリーズ『三体』三部作で描かれたアイデアやキャラクターが登場する、衝撃の前日譚!
昨年下半期に散々ハマって読み込んだ三体シリーズの前日譚として描かれた本作。
めっちゃ良かった。私の中で本編より好きだった疑惑が浮上している。
兵器開発に没頭するヒロインの危うさはとても魅力的です。
軍事兵器とマクロ電子の話なのだけど、若かりし丁儀が大活躍。
そしてここまで読み切って真の三体ロス突入しました。
10.『熔ける』井川意高
大王製紙社長の長男として、幼少時代は1200坪の屋敷で過ごし、東大法学部に現役合格。27歳で赤字子会社を立て直し、42歳で本社社長就任。順調な経営、華麗なる交遊……すべてを手にしていたはずの男はなぜ〝カネの沼〟にハマり込んだのか?
創業家三代目転落の記。そして、刑期を終えたいま、何を思うのか――。
最後に小説ではない一冊を。
ギャンブル依存症に陥り、巨額の資金を横領し、最終的には大王製紙を追放されてしまった創業家一族の井川意高さんの手記です。
井川さん目線で当時の状況や心境が赤裸々に綴られていて非常に興味を惹かれました。
文章の中で時々井川さんの弁解っぽいものが綴られていたり、「自分のしたことあまり悪いと思ってないな?」と思えるような記述があったりしてそれが逆に生々しいのであります。
動くお金が庶民とは別世界で、文字通り桁違いなのが凄いです。
2023年上半期の読書総括
読んだ本(聴いた本も含む)は69冊でした。
この半年はとにかく西尾維新さんの『物語シリーズ』を読み耽っていたので内容はかなり偏っていますが…
69冊のうち半分、とまでは言いませんが28冊は『物語シリーズ』です。
ここ数年の傾向として、十二国記シリーズ(再読)→イレーナシリーズ→三体シリーズ→物語シリーズと、常に何かしらのシリーズものを踏破しようとしている感があります。
ちなみに現在は猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子シリーズを読み進めているので、シリーズもの踏破は継続中。
素晴らしいですね、長編・シリーズもの。自分の好きな物語に長く浸れるのが最高なの。
下半期はどんな本に出会えるのか?どんな世界が広がるのか?
読んでも読んでも尽きることのない面白い本たちとの出会いは、人生の楽しみの一つとなっております。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れ様でした!