発売時、話題になっていた『サピエンス全史』。
少し気になりつつも「難しくて私には読めないのでは…」と臆していたのだけれど、Audible(オーディブル)版がリリースされていることに気づきました。
聴くならできそう。
無理ならやめればいい。
そんな風に自分にベタ甘な気構えで再生してみたら大当たりです。
めちゃくちゃ面白い。とういうか、非常に興味深い内容でした。
自分という、人間という生き物について、私はあまりに知らなすぎた。
第一部【認知革命】
本書は上下巻合わせて4部構成。
今回は第一部の【認知革命】について語りたいです。
ホモ・サピエンスとかネアンデルタール人とか、学校の授業で習ったのはなんとなく覚えている。
けれどなんとなく過ぎて、
歴史の授業か?生物の授業か?
それさえ思い出せない。
教えている先生だって特に興味がある風ではなかったし、
聞いている私たちに興味なんてあるわけもなかった。
10代の私たちにとって興味深いものはもっと身近にたくさんあったし、
具体的に想像もできないほどはるか昔の、本当かどうかもよくわからない猿人時代からの歴史なんて、
意味がわからないお経を聞かされているようなものだった。
なのに。
なのに。
本当に不思議なんだけど。
若い頃は興味の欠片もなかったものが、
年とるといつの間にか興味深く学べるようになるんだよね。
最近は本当にこれで加齢を感じることが多いです。
若い頃、どれだけ学習の機会をふいにしてきたことか。
絶望してしまいそうで仔細には考えたくないくらいです。
驚きのホモ属(ヒト属)の歴史
そもそも私たちが幼い頃に教科書で見た、猿人から進化して現代の人間に近づいていく進化の図解。
あれが間違いだったというのです。
あれ(に、似てるやつ)⇧
ホモ属は最初から単一の種類が存在していたわけではなく、昔は複数種類が同時に存在していたとのこと。
今や「人間=サピエンス」ですが、当時は「人間=色々」だった模様。
ネアンデルタール人とかデニソワ人とか、人間にも様々な種族がいた。
ところがある時、私たちの種であるサピエンスが他のホモ属を大量虐殺した。
サピエンス以外の種を絶滅させたのです。
こわっ。
私たち、恐ろしい種族の生き残りです。
そりゃ戦争が絶えないわけです。
はるか昔からそういう種族なのですから。
けれど自分たちを「サピエンス=賢い」種族と名付けたからには、なんかこう…もう少しいい方法はないの?と思ってしまいます(他力本願)。
すべてのキッカケは【認知革命】
今でこそサピエンス(私たち人間)は食物連鎖からも外れた特殊な存在のように見えるけれど、
認知革命以前のホモ属(サピエンス以外も含む)は、食物連鎖の中頃を陣取るただの動物でした。
ライオンが獲物を狩り肉を食らう。
次にハイエナやジャッカルが残り物を漁る。
そうしてやっとホモ属の順番が来る。
石器を使い、残っている硬い骨を割り、中から栄養満点な骨髄を取り出す。
それが人間の立ち位置でした。
ところがある時、サピエンスに【認知革命】が起こります。
突然変異とされている革命が、サピエンスの脳に起こったのです。
これによってサピエンスは他の種族を全滅させる力を手に入れ、
食物連鎖からも外れる存在になり、
現在の私たちへと繋がっていくのです。
認知革命で手に入れた【虚構】を作り出す能力
古すぎる歴史ばかりを学んでも面白くないですが、
それが自分たちの生活に繋がると突然興味を惹かれます。
虚構を作り出し、虚構を共有する能力とは何か。
本書では「プジョー(PEUGEOT)」という企業が例に挙げられています。
実態はないけれど、みんなが「存在する」と認知しているもの。
国家や、貨幣の価値などもこれに該当します。
なるほど…
私がVoicyで愛聴している「コテンラジオ」と繋がりました。
「お金の歴史」特集で取り上げられていた「株式会社の誕生」です。
無料で聴けるので興味のある人は聴いてみてほしい。
You Tube版もあります。
(音声のみ流しているのがVoicyなので、内容は全く同じ)
オランダの東インド会社です。
世界で最初の株式会社と言われているあれ。
授業で習ったね?
全く覚えてないけど「オランダの東インド会社」という単語だけは聞き覚えがあるね?
当時はまるで興味がなくて、授業は右から左へ聞き流していました。
大人になった今、重要な内容だったんだなと初めて知るわけです(恥)
私たちの社会において、世紀の大発見だったと言えそうです。
では、「虚構を作り出し、虚構を共有する能力」はなぜ重要なのでしょう。
【虚構】はコミュニティの限界を超える
認知革命以前にも、コミュニティは存在していました。
そもそも人間は群れで生きるものだとよく言われています。
そしてそのコミュニティ(群れ)には、規模の限界があるとされています。
最大150人。
集団が大きくなりすぎると秩序を失い、分裂してしまうのです。
ところが認知革命以降、サピエンスは虚構を作り出し、共有するようになります。
虚構を共有したコミュニティは、規模が拡大しても秩序を保ちます。
国家も、宗教も、有限責任会社も、これに該当するのです。
あまりにもわかりやすい身近な例がありました。
企業分析ハックさんのVoicyで取り上げられていた「渋谷のハロウィン問題」です。
マーケティング視点からの考察となっていますが、現象としてはまさにこれ。
「渋谷のハロウィン」と「池袋のハロウィン」を比較していますが、
渋谷が無秩序であるのに対し、池袋はコンセプトが設定されているというお話です。
この「コンセプト=虚構」が、大きすぎる集団の秩序を保つために重要な役割を果たすわけです。
普段は無自覚に生活しているけれど、こうやってメタ認知してみると、
やはり自分たちもホモ・サピエンスという生物(動物の一種)なのだなと不思議な気持ちになります。
【認知革命】は突然変異と言われるほど特殊な事例で、
そういう事件でも起こらなければ、生物なんてそうそう大きく変化しないのですね。
興味深い内容が盛りだくさんの『サピエンス全史』
第一部だけでこれかぁ…と考えると、まだまだ先は長いです(いい意味で)。
読み応えありすぎておすすめの一冊。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れ様でした!