Daydream

全ては泡沫のごとく、ただ溶けて消えていくだけ。。。

プレ値の付いた絶版本『堕天使拷問刑』が復刻したので早速購入して読んでみた(著者:飛鳥部勝則)


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小説一冊に数万円の値がつくって凄いことだと思うの。

いくら絶版本とはいえさぁ…

なんて思っていたけれど、読んでみてなるほどそういうことかと理解しました。

物の価値っていうのは大衆受けするかどうかじゃないですね。

コアなファンが付くかどうかが重要なのです。

復刻版『堕天使拷問刑』飛鳥部勝則

中学1年生の如月タクマは事故で両親を亡くし、母方の実家に引き取られた。

これまで育った東京とはまるで違う山村。

田舎特有の排他的な空気と、古くから残る因習。

そんな中で起こる不可解な殺人事件。

ただ日常生活を送っているだけのはずなのに、否応なく事件の中枢に引きずり込まれていく。

 

500ページ近い大作。

しかも上下二段構成。

なかなか読み応えのある一冊でありました。

「闇鍋かよ」と思うようなごった煮状態の怪作

物語の構成要素がいくつかあり、どれもマニアック。

 

山村に古くから残る因習。

悪魔崇拝。

連続して起こる殺人事件にまつわるミステリー。

集団心理による扇動。

遺産相続。

中学生男子のささやかな恋愛。

 

どんな話だよww と、ツッコミたくなるなるけれどその辺は「まぁ読めばわかります」としか言いようがありません。

こうしてブログに書いているからには、

私としては面白かったですし、好きな作風でした。

“オススメモダンホラー”

この章に注目した読者は多いはず。

作中作といっても過言ではない熱量たっぷりのお手紙(エッセイ)。

ただひたすらに「おすすめのモダンホラー小説」が解説・紹介されている。

ものすごい量だし最後は年表化もされている。

これは飛鳥部勝則さんの趣味ということでいいのですか?

にわかでは書けないと思うのですが。

そして私はこの章を読みながら、夢野久作さんの『ドグラ・マグラ』を思い出したのでした。

「正木博士の残した資料」を延々読み続けた日のことを。

不二男くんのお手紙の方が圧倒的に読みやすいけれども。

始まった瞬間に「え?これって全部読むべき??」と思ってしまったのはどちらにも共通しています。

もちろん思っただけで、どちらも全部読みましたが。

僕はダウナー系の救いのない話が大好きで、だからホラーが好きなんだけど、続けて読んでいるといささかやりきれなくなることもある。

 

いや、それな。

 

なんて思ったりして。

ホラーが好きかはともかくとして(好きだけどここまでの情熱はない)、

救いのない話を好きで読んでいるのに読みすぎてやりきれなくなることめっちゃある。

「勝手に読んでおいてなに言ってんの?」と思われそうだけれど。

不二男くんとお友達になりたいです。

多重解決ミステリー

『堕天使拷問刑』読んで気づいた。

私は「多重解決ミステリー」が好きなのかもしれない。

納得のいかない結末に「えぇ!?」と思い、落とされたところで別の解を提示される。

すると落とされた心が軽くなるのです。

なにかの中毒??

白井智之さんの『名探偵のいけにえ』を思い出すなどしました。

ちなみに“本格ミステリー”という文言をどこかで見ましたが、“本格”かどうかは疑問です。個人的に。

面白さのポイントはそこじゃない。多分。

絶版→プレ値→復刻

今回読書垢のTLで話題になっていた絶版本の復刻。

私は元々『堕天使拷問刑』も飛鳥部勝則さんも知らずにただただ話題に乗っかる形で購入しました。しかも有償特典付きの方。

事前情報を何も入れず購入したので(しかも高い方)、「文章が自分に合わず読みにくかったらどうしよ…」なんて心配していましたがそんなこともなく。

文章読みやすいし内容好きな感じだし購入してよかったなと思っております。

恐らく盗作騒動がなければ著者の作品が品薄になることはなく、今回のように復刻祭りも開催されなかったのだろうと思うとなんだか皮肉ではあります。

ただ、プレ値がついた理由は読んでみてわかりました。

 

また読みたくなる。

 

これに尽きる。

多分私も、数年後にまた読み返すと思います。

それくらいクセになる作品でした。

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

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