私、ティッシュもトイレットペーパーもエリエール派なんですよね。
毎日毎日欠かさずお世話になっている大王製紙さん。
今日は、ギャンブル依存に陥って巨額の現金を横領し、大王製紙を追放された創業家三代目の井川意高さんのお話。
熔けたのはお金か、それとも自分自身か
今回取り上げる本は上記2冊。
どちらも井川意高さんの回顧録です。
個人的には両方セットで読むのがおすすめ。
井川意高さんの半生を知った気になれます。
上場企業創業家三代目のお坊ちゃまですから、一般庶民の私には知る由もないセレブリティな世界について描かれているのも非常に興味深かったです。
まずは本書の見どころをサクッとご紹介。
- 富裕層だけが立ち入れる海外カジノのVIPについて
- ギャンブル依存症の心理と現実
- 井川氏がどのように育てられたのか、家族との関係
- 106億8000万円もの横領の全容
- 横領発覚から有罪、刑期満了まで
- 製紙業界とペーパーレス社会について
- 社内の派閥争いと創業家の親族争い
2冊合わせてこんな感じの内容が掘り下げられています。
これが本当に現実の話なの??
まるでフィクションのようなノンフィクション。
面白い、と言ったら語弊があるかも知れませんが、非常に興味深い内容で2冊一気に読み抜けてしまいました。
ギャンブル依存症の恐ろしさ
ギャンブルをしたことはありますか?
私はあります。
依存症になったことはないけれど、ギャンブルの面白さは人並みに知っているつもりです。
ギャンブルの面白さを知っている人ならば…
本書の冒頭から臨場感を感じることができるはず。
勝負が決する直前の緊張感と高揚感。
勝ち確の瞬間に訪れる興奮と、負け確の瞬間に陥る絶望。
この強すぎる脳への刺激が、「ギャンブル依存症」という沼へと我が身を引きずり込んでいく…
「金は命より重い」
漫画家・福本伸行さんが作中(カイジ)で利根川に言わせたセリフ。
この言葉が真実ならば、井川氏は命よりも重いものを賭けて勝負に挑み続け、そして失ってしまったことになります。
様々な人達が関わった一連の事件ですが、本書はあくまでも著者である井川意高氏の視点から語られているわけで。
バイアスがかかっているところもあるでしょうし、誇張されている部分もあるかも知れません。
しかしその偏りがまた、「当事者としてのリアリティ」を感じさせてくれる要素なのです。
1冊目の『熔ける』を読みながら、井川氏の主張に所々違和感を感じました。
反省の言葉を述べている一方で、どこか言い訳じみたものを感じる。
本当は、「悪いことをした」とは思っていないような…
そして2冊目の『熔ける 再び』の冒頭で、その違和感の正体を知ることになるのです。
大王製紙を創業した井川一族、大王製紙を追放される
『熔ける 再び』では、大王製紙社内での転覆劇詳細についても描かれています。
井川意高氏の横領を機に、社内でクーデターが起こるのです。
井川家からすれば会社を乗っ取られたようなもの。
少なくとも著者の井川意高氏の文章からは、そんな風に感じている空気が伝わってきました。
大王製紙から井川家を追放するためにあった、様々な画策についても語られています。
しかし私個人の感想としては、やはり井川家追放は起こるべくして起こったのだろうな…と。
仮にも上場企業で、会社資金の私的流用は許されない行為とされていますが、井川氏は創業家の一族として、心の何処かで
「大王製紙は自分のもの。だから大王製紙の資金も自分のもの。少しくらい借りたっていいじゃないか」
そんな風に思っていたのではないか。読んでいてそんな印象を受けました。
その他大勢の社員からすれば、とんでもない話です。
ただでさえペーパーレスの時代に苦しい製紙業界。
電話一本で億単位のお金をちょこちょこ持っていかれては、たまったもんじゃないでしょう。
叶うならば、井川一族を追放した当時の経営陣の方たちの手記も読んでみたいものです。
視ている世界がガラリと変わって面白そう。
そんな不謹慎な妄想を膨らませてしまうほど、興味を惹かれた2冊でした。
文章がわかりやすく読みやすく、そして面白いのであっという間に読めてしまいます。
「依存症」は病気です。
気持ちだけではどうにもならないものなので、医師のもとで治療を受けることが必要なのだと改めて感じました。
そして、私はこれからもエリエールを愛用しようと心に決めました。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れ様でした!