Daydream

全ては泡沫のごとく、ただ溶けて消えていくだけ。。。

本編より好きかもしれない『三体0 球状閃電』劉慈欣


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量子効果や軍事兵器開発のテーマに興味を惹かれる人、

そして『三体』シリーズ本編を楽しめた人は必ず読むべき一冊。

予想以上に面白くてビックリしたわ…

『三体』前日譚である『三体0 球状閃電』

これで最後。本当に最後。

三体シリーズ全部本当に読み終わってしまいました…

本編5冊。二次創作1冊。前日譚1冊。合計7冊。

三体漬け読書生活終了しましたお疲れ様でした…(もっと欲しい)

私は日本で発売された順に読んだけれど、『三体0』に関しては最初に読んでも最後に読んでもどちらでも大丈夫な仕様です。

実際に描かれたのは本編よりも『三体0』が先だったようなので。

シリーズ名として「三体」を冠していますが、本書には三体星系や三体人などは登場しません。

危機紀元よりもっと前、西暦時代のお話です。

若き日の天才物理学者、丁儀(ディン・イー)が登場します。

三体シリーズ本編を先に読んでる読者は丁儀の人生の後半を丸っと知ってしまっているので、なんともまぁ感慨深い内容であること…

テーマがテーマであるだけにこれらの丁儀が全くの同一人物であるかどうかは疑問符が付くところではありますが、それも含めて面白いよね、ということです。

『三体0 球状閃電』のあらすじ

そもそも球状閃電(球電)とは何か。

英語ではボール・ライトニングと呼ばれているものらしいですが、どうやらこれは現実に存在する現象のようです。

雷雨の中で見ることのできる球状の浮遊する発光体。

実際には科学的解明は進んでいないようですが、本書ではこのボール・ライトニングの解明が記されています。

まさにSF(サイエンス・フィクション)って感じで非常に面白く、本当にこんな風なら……とワクワク感が煽られました。

いや、実際に本書に記されている内容が現実で起こったらとんでもない事になってしまうのですが。

 

主人公は陳(チェン)博士。

子供時代に球電に両親を焼き殺され、その解明に一生を捧げることを決めています。

そんな彼が、同じく球電を解明しようとする美しき軍人・林雲(リン・ユン)と出逢う。

しかし彼女の目的は球電の解明そのものではなく、球電を軍事兵器として利用することでした。

共に球電について研究するものの、その解明は手詰まりになってしまいます。

そして二人は天才物理学者・丁儀(ディン・イー)を訪ね、助けを求めるけれど……?

予想外に感動してしまう

『三体(シリーズ)』って感動する話だったっけ??

読了後の脳内に「?」がたくさん浮かんだ。

否、この感動は『三体0』特有の感動だ。

終わり方が私の好みのタイプのものだった。

これまで三体シリーズで劉慈欣さんの著書を6冊読んだけれど、

登場人物の複雑な心理描写が描かれているのに恋愛要素はドライなのが気に入っています。そういうドキドキ感は求めていないので。

林雲……、最初は好きだなーと思って、次に程心(チェン・シン)くらい好きじゃないなーと思って、最後に程心より好きになった。

(でも最期の“語り”はもう少し減らせなかったのだろうか?と思ってしまうよね、正直なところ)

メインキャラクターの3人だけでなく、登場人物の大半が未知の現象である「球電」に人生を振り回されています。

自然現象を前に人はあまりに無力で、絶望感に近い虚しさを感じさせられました。

引用されている詩 ロバート・フロストの『選ばなかった道』

黄色の森の中で
道が二手に分かれていた
残念なことに
二つの道を同時に歩むことはできない
だから
人があまり通っていないほうを選んだが
そのおかげで人生は
まったく違うものになった

 

この詩にストーリーを肉付けして本書になったのではないかと思わされた。

その人生は、果たして幸福だったのか?

人の一生が描かれている。

幸福も絶望も、人生のすべてが。

それが、本書も含めた『三体シリーズ』の魅力の一つであり、私を惹きつけてやまない要素なのかも知れません。

前日譚を読んだらまた本編を読みたくなってしまった…

後半に本編への伏線ぽい描写がいくつかあるのよ。

少し時間をあけて必ずまた再読すると心に決めました。

長編の無限ループ恐ろし…

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

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