Daydream

全ては泡沫のごとく、ただ溶けて消えていくだけ。。。

私の中にも“二宮拓人”がいるので登場人物についてまとめてみた『何者』朝井リョウ


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SNSというのは使い方を間違えると身を滅ぼす。

これはネットが普及した現代特有の病と言えるのではと思ったり思わなかったり。。。

『何者』朝井リョウ

この小説を読んで面白いと感じるかどうかは賛否分かれそうな気がするけれど、私自身は面白く読むことができました。

なんというか…身につまされる思いで読み続けてしまった…

「人の振り見て我が振り直せ」という言葉がこんなにもシックリくる小説他にないよ…

自分の挙動や言動を改めて見直そうと思わせてくれる作品でした。

この『何者』という小説は、作中で特に何か大きな事件が起こるわけではありません。

就職活動中の大学生たちの日常が描かれています。

地味といえば地味だけれど、リアルといえばリアル。

しかものそリアリティは“嫌な意味で”(褒めてる)、だったりするのです。

 

大人のようで子供だったり、

子供のようで大人だったり。

若いなら若いなりに色々な事情がある。

中年には中年なりに色々な事情があるのと同じです。

自分とは無縁の世界の話のようで、本質的な部分ではあまり違いはないのかも知れません。

 

SNSと現実。

本音と建前。

素直さと卑屈さ。

好意と悪意。

主観と客観。

物事を冷静に観察し分析することと、

斜に構えて皮肉を言うことは別物で。

けれどその境界はどこにあるのだろう?と、改めて考えさせられました。

 

本作は就活生の一人“二宮拓人”が主人公で、彼の視点から物語が語られていきます。

地味(そしてちょっと陰気)なストーリーではあるものの、オチ的なものもちゃんと用意されていて周到だなぁ、と。

朝井リョウさんの小説を読むのは初めてですが、結構好きかもしれない。

今回は主人公“二宮拓人”の視点も借りながら、登場人物紹介を書いてみようと思います。

ネタバレが含まれますので未読の方はご注意ください。

①二宮拓人

本作の主人公。他人を分析する癖がある。

理香曰く、「観察者」。

光太郎と同居中。瑞月のことが好き。銀次と喧嘩中。

名言①「頭の中にあるうちは、いつだって、なんだって、傑作なんだよな」

名言②「甘い蜜でコーティングしたような言葉を使って、他人に、理想の自分を想像してもらおうとする。想像力が足りない人ほど、他人に想像力を求める」

神谷光太郎

拓人の同居人。瑞月の元彼。元バンドマンの陽キャ

拓人曰く、「その場を盛り上げるピエロになることもできるだけで、決してバカではない。たまに、光太郎のそういう面を見抜けない人が、明るい光に集まる虫のように、光太郎に近づいてくるくることがある」

瑞月曰く、「自分の人生の中にドラマを見つけて、そのドラマの主人公になれる人」

私曰く、「自分の意志が明確で好感度が高い。それなりに幸せな人生を生きそうな人」

③田名部瑞月

光太郎の元カノ。光太郎のことが好きで、2回フラれてしまう。

母親がメンヘラで父親が無責任なため、真面目に気負いすぎてしまう一面あり。

拓人にとって「唯一の真実」。

曰く、「瑞月さんは言った。「頑張らなきゃ」と。それだけが真実だと、俺は思った」

④小早川理香

隆良と同棲中。友達いない。

拓人&光太郎の上の階に住んでる。プリンター要員。

マウントとりがちな名刺女。

雑魚キャラかと思いきや最後まで読んだら好感度が上がりました。

⑤宮本隆良

理香と同棲中。

ただのバイトを仕事と呼ぶ男。

就活に対して小馬鹿にしたような持論(?)を展開しつつ、さりげなく自身も広告会社を受けるなどしている。

愛読書は『思想を渡り歩く』

名言①「人脈は本当に大事だよな。人脈はいつか絶対に自分の脈になる」

名言②「流されるんじゃなくて、俺は俺で、生きていきたいから」

読書のポーズばかりでいっこうに読み進められる気配のない『思想を渡り歩く』は、隆良そのものを体現しているかのようで非常に感慨深いです。

タイトルも秀逸。

⑥烏丸銀次

拓人の元友人。「毒とビスケット」という劇団で月1回公演中。

実はギンジ本人は作中でほとんど登場しないのだけれど、象徴的な登場人物の一人。

拓人の中のこだわりと言っても過言ではない。

⑦サワ先輩

拓人曰く、SNSをやらない、現実にしかいない人。

私たちが生きている「リアル」を象徴する人物。

疎かにしてはならないものを教えてくれる人。

サワ先輩…大人や…

名言「ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ、もっと。

俺、お前はもっと、想像力があるやつだと思ってた」

『何者』でもなく自分は自分

「就活」というキーワードで繋がれた少し歪な人間模様。

この7人はスタンスというかポジションというか、立ち位置や見てる世界などが全員異なっているのでそこが面白いポイントだと思うのです。

それぞれに抱える思いがあって、それをお互いが許容できるかどうかは重要な課題なのかも知れない。

プライド(自尊心)や自己保身、視野の狭さなどがそれを邪魔してしまう。

受験や就活は人生で大きな山のように思えてしまうけど、実際はそこから先の人生の方がよほど長く険しいのよね。

その分楽しいことも多いけれど。

良くも悪くも自分は自分でしかなく、自分の選択と行動が積み重なって、自分の人生になっていく。

ガチャ要素的なものに支配される部分もあるけどね。

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

 

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