今回も駆け足で読み切った。相変わらず面白いじゃないか。
もはや過酷が娯楽になりつつあるイレーナ
しかし改めて思うのは、『こんなにも過酷続きのヒロインて珍しいのでは?』ということ。
十二国記読み始めた時も陽子は中々の過酷具合だったけれども、最後にはちゃんと“王座”が用意されていたわけで。
もちろん王座について終わりではないのものの、その後は過酷の種類が変質し、次のフェーズへ移ったわけだ。
ところがイレーナはその変質が未だにない。
既にシリーズ4作目。
絞首台に向かうところから始まったイレーナは、未だに全力で命の危機に晒されている。
彼女が正しいと思う道を進んでも、否、進めば進むほど彼女を逆恨みし、命を狙う敵が増えていく。
束の間の恋人ヴァレクとの癒やしの時間も、本当に束の間すぎる。
一緒にいる時間ほぼ無し。
え?こんなに一緒の時間を過ごせない恋人同士って有り得るの??拷問なの???
壮大な物語に疲労困憊する私
本シリーズは全部で6冊なのだけど、前半の3冊は『イレーナ三部作』としてそれぞれがある程度一旦完結するような構成となっている。
ところが後半の3冊は『霊魂の探しびと篇』として、分厚い文庫本が3冊途切れることなく物語が続いているのだ。
圧巻。とにかく長い。壮大過ぎる物語。
しかも面白いから困る。
物語の先が気になって自分の人生に集中できない。
お世辞にも読む速度が速いとは言い難いので、とにかく時間を要する。
時間を気にせず読書に没頭できる身分になりたい…。
【イレーナ、失われた力】のあらすじ
国の最高司令官の毒見役となって死刑を免れた日から8年。いまでは敵対国との間を繋ぐ連絡官を務めるイレーナだが、ある夜事件は起きた。何者かに毒矢で射られ、いっさいの魔力を失ったのだ。絶体絶命の窮地に陥ったイレーナ。頼みの綱のヴァレクもまた、長年固い絆で結ばれていた最高司令官との関係にいま、暗雲がたちこめ…。
新たな敵、試される信頼と裏切り。<霊魂の探しびと篇>開幕!
あらすじのとおり、タイトルのとおり。
今回はイレーナが魔力を失う。
そもそもイクシアでは魔術師の存在は許されていないし、シティアの人も全員が魔力を使えるわけじゃない。
魔力なんて失ったところで大した問題ではなさそうに思えるけれど…。
イレーナはあまりにも敵が多すぎる上、魔力に頼りすぎていた。
遠くの誰かと繋がることも、動物たちと繋がることも、相棒のキキとの意思疎通さえ…。
イレーナにとって魔力の価値は知らないうちに大きくなりすぎ、自力で危機を乗り越えることをいつの間にか怠っていた。
全てに絶望し、絞首台に向かって自らの足で歩いたあの頃、魔術なんて元々は使えなかったはずなのに。
その頃の感覚はとうに忘れ去られ、一度手に入れた魔力を失ったイレーナは余りにも脆い。
そんな彼女がなんとか自身を奮い立たせ、暗殺者と対峙するのだが…
真実を追えば追うほど対立する二国の思惑がズルズルと露わになり、連絡官であるイレーナはショックを受けるとともに、イクシアにもシティアにも追い詰められていく。
【イレーナ、失われた力】を読んだ感想
ところで、私が本シリーズの最初の三部作を読み終えてから10ヶ月が経過している。
10ヶ月ぶりのシリーズ再開なのだけど、ちょっとやらかしたなぁと思うところがあった。
さすがに細かい部分の記憶が飛んでいるのだけれど、作中に登場する毒の種類まで記憶があやふやになっていたのだ。
この物語において毒は重要な役割を果たすので、これはいただけない…
1巻である『毒見師イレーナ』を再読したい衝動に駆られた。
ヴァレクがイレーナに渡した52種類の毒が記されたファイル、私も欲しい…
1行目を見るだけで『マイ・ラブ』がどんな毒なのかわかるはずだ。
今回は魔力を失う以外にもイレーナの身体に変化がおきるのだけど、私はなぜかそれを最初の数ページで察知してしまった。イレーナの力がなぜ失われたのかも見当がついてしまった。
そしてそれは、ヘイズ治療師が登場して確信に変わった。
かのホラー小説を読んだときと同じように、いらぬ勘が働いてしまったらしい。
一体なぜなのか…
ミステリーを読んでる時に理論的にトリックや犯人を突き止めようとしてもまるでダメなのに。
論拠不要の直感だけは今日も冴えている。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れさまでした!