総額1億5千万円。
これが、頂き女子りりちゃんが男たちから騙し取った金額。
懲役8年6ヶ月。執行猶予は無し。
これが、りりちゃんに下された判決。
『渇愛〜頂き女子りりちゃん』とは
私がこの本を知ったのはYouTube。
みんな大好き積読チャンネル。
そんなわけで、本の内容については動画をご参照くださいませ。
男性たちから総額約1億5千万円を騙し取り、
その方法を"魔法のマニュアル"として販売し、
逮捕された「頂き女子りりちゃん」。騙し取った金をすべて歌舞伎町のホストにつぎ込んでいたこと、
「頂き女子りりちゃん」と名乗り、"配信"を行っていたことなど、
様々なエピソードや特異なキャラクターによって、
逮捕から裁判、そして実刑判決まで一挙手一投足が注目を浴びた。その事件を、接見・裁判傍聴・関係者取材の果てに描き出す。
「りりちゃん」に引き込まれ、ゆさぶられながらも
熱意と情動で対峙し続けた全力ノンフィクション
頂き女子りりちゃんの罪の重さ
「人を殺したわけでもないのにこの判決は重すぎる」
りりちゃんの判決がニュースになったとき、SNSでこんな書き込みを見た人もいると思う。
私も見た。
ただ当時は興味も薄くて、「ふぅ~ん」と聞き(見)流していた。
そして『渇愛』を読んだ今、興味は少し湧いたけど刑罰に関する知識があるわけではないので、この判決が妥当か妥当じゃないかは個人的な感想レベルでしか語れない。
私はこれからとても無責任なことを書くかも知れないな、という自覚が少しある。
滋賀医科大学生母親殺害事件の『母という呪縛 娘という牢獄』
比較対象として私が思い浮かんだのはこちらの一冊。
「滋賀医科大学生母親殺害事件」に関する、似たような立て付けのノンフィクション本である。
生育環境の悪さから人生が歪み、罪を犯して逮捕される。
抽象化してしまうと構造は同じなのだが、犯した罪がりりちゃんと違う。
あかりさんの場合は母親を殺害し、遺体をノコギリで切断し遺棄している。
判決は懲役10年。
りりちゃんと比較して、1年6ヶ月分だけ重い罪となる。
お金の価値、命の価値
命は取り返しがつかないけれど、お金は取り返しがつく。
「人を殺したわけでもないのに罪が重い」は、つまりそういうことだと思う。
お金は取り返せる。
お金はまた稼げばいい。
確かにそうだと思う。
だけどお金って、一定の金額を超えると取り返せないものになるような気がする。
それってある意味で命の価値と等しく……とまでは言わないけれど、近しい価値になるのでは?と思ったり。
命より重い金とは?
私の本棚にはこんな本がある。

ウケるww
もう10年以上前の本で、内容は経済ジャーナリストの方が書いてる初歩的なマネリテなんだけど、「カイジ」が好きなので買った。
最初から最後までガッツリ「カイジ」と絡めて書いてあって好きなので、今でも売らずに本棚に陳列してるw
「金は命より重い」と断言しているのは利根川氏(カイジの登場人物)。
良いセリフだなぁと思う。
正誤の話ではない。
カイジたちのように無知やルーズさから身の丈に合わない借金を背負ってしまった人たちに、ちゃんと現実を突きつけるセリフだなって。
本来命はお金に換算できないものだとは思うけど、現実問題としてお金に換算することもある。
賠償金とか。
人一人が死んでしまったとき、賠償額は老人よりも子供の方が高かったり、年収の低い人より年収が高い人の方が高かったりする。
命に値段をつけている上に、命の値段に個人差がある。
これはつまり、「命より重くなる金」の金額は人によって違うということだと思う。
(「賠償額が命の重さ」という意味ではなく、「命とお金の価値の比率は個人差がある」という意味です)
頂き女子りりちゃんの被害者の場合
『渇愛』ではりりちゃんの被害者の男性が、著者のインタビューに応じている。
50代男性、恒松さん(仮名)。
りりちゃんが頂いちゃった金額は3850万円。
すんごい金額。
わずか数回しか会ったことない女の子に貢ぐ金額じゃない。
と、私は思う。
なぜなら私は庶民なので。
3850万円は、私にはそう簡単に捻出できない大金なのである。
じゃあ恒松さんは金持ちだから3850万円を貢げたのか?セレブなの??
読めばわかるがそんなことはない。
恒松さんは自殺を考えるほど追い詰められている。
「生活に困窮している。とにかくお金を返してほしい」と訴えている。
3850万円は、恒松さんにとっても大金だったらしい。
しかも自殺を考えるほど追い詰められるって、3850万円がかなり「命の価値」に近づいてしまっているのでは???と思う。
「高い勉強代だったね」で済む金額とは?
この境目ってどこにあるんだろう?と考えた。
それでふと思った。
預貯金で足りる分だったらまだ取り返しがついたのではないか?と。
恒松さんは、複数回にわたってりりちゃんにお金を渡している。
1番最初のりりちゃんの要求は800万円。
恒松さんはまず200万円を振り込み、その後立て続けに600万円をりりちゃんに渡している。
「貯金に加え生命保険を解約した」とのことだ。
もしかして200万円が貯金で、生命保険を解約した分で600万円埋め合わせたのかな?と想像している(実際どうなのかは記載なく不明)。
だとすると恒松さんは、割と早い段階で越えてはいけない一線を越えてしまったのかも知れない。
彼が即金で用意できるのは200万円だった。
ということはそこが彼の許容範囲で、その先は彼の命を削ることになる。
何かの時のための生命保険や、これまで積み上げてきたり引き継いできた固定資産は、売却してしまったらそう簡単には取り戻せない。
築き上げるためにかけた「長い時間」は「命」そのものだから。
恒松さんは命に匹敵するものをりりちゃんに差し出してしまったのかも。
お金と命の境目
りりちゃんの被害者は恒松さんだけじゃない。
総額1億5千万円。
恒松さんみたいな人が複数人いると考えれば、まぁ重すぎる刑というわけでもないのかも?
りりちゃんはお金を使い切っちゃってるので、逮捕されたところで貢いだお金が戻るわけじゃない。
削って差し出した命はもう戻らない。
身の丈に合わないお金は使わない方がいいね。
あと、どこまでが身の丈に合うのかを普段から考えておいた方がいい。
舞い上がったり、動揺したりしている時にその判断をするのは難しいから。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れ様でした!
余談ですが、世の中には許容範囲がめちゃくちゃ広いセレブも存在する。
横領額100億円超えの猛者。
『ファーストラヴ』と『渇愛』は構図が全く同じで驚く。
生育環境が悪くて事件を起こし捕まった女の子と、本を書くために彼女との面会や手紙のやりとりを繰り返すライター。そして母は娘のために法廷に立ってはくれず、父は論外の存在。
私やAさん(仮名)のような庶民の扱えるお金なんてこの程度のものですよ。
「身代金」も命をお金で測る行為よね。
これもある意味2億円と人生を秤にかけているかも。