Daydream

全ては泡沫のごとく、ただ溶けて消えていくだけ。。。

世界的に大ヒットしたSF小説【三体】は、もっと面白いはずだった…!


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ついに読んだ。

私も読んだ。

三体…!!!

【三体】を余すことなく楽しむために必要な要素

世界的に大ヒットした中国産SF小説

ついに私も読んだわけですが、やはり面白かったです。

第二部も読もうと思っている所存。

世界的にヒットするにはやはりそれなりの面白さがあるのだなと思う反面、

この小説を誰もが楽しめるのかと言えばやはり疑問が残る。

そして私自身も、この小説の面白さを全て享受できたかと言えばNOである。

そんなわけで本日は、【三体】の面白さを享受するために必要なスキルについて語ろうと思う。

ちなみに私は以下4つのスキルのうち、最初のたった1つしか持ち合わせていなかった。

それでも十分に楽しめたので(スキルの低い私でも楽しめるくらい小説のスペックが高かった)、気になった人はあれこれ考えずとりあえず読んでみたらいいと思う。

1.必須スキル 活字慣れ・読書慣れをしていること

そもそもこの【三体】という小説。

文字数も情報量もめちゃくちゃ多い。

本の厚みはそれなりにあるし重いし持ち歩きにも非常に不向きであった(持ち歩いたけど)。

文字のサイズもまぁまぁ小さくびっしり書かれているので、そもそも活字に慣れていない人は間違いなく挫折する。

読書歴が浅い人にはあんまりおすすめできない。

しかも構成がなぁ…

文化大革命のシーンから始まるのだけれど、これがまぁとっつきにくい(個人の感想です)。

しかしながらこれには救いがあって、一番最後の訳者あとがきに別の読み方が記載されている。

それは『第二部から読み始める』というもの。

え?途中から読むの?と疑問に思われそうだけれど、これは有効な手段だと思う。

三体は主人公が二人いて、それぞれに合わせて時系列が現在と過去で行ったり来たりする。

ミステリーではないので順番を入れ替えることに大きな問題はない。

第一部で挫折しそうな人は訳者あとがきに飛んでいただき、そこで記されている順番に読み替えてみてほしい。

すると汪淼(ワンミャオ)と史強(シーチアン)の出会いのシーンから始まることになり、物語に入り込むハードルがグッと下がる。

大史(ダーシー)はミステリー小説などにも出てきそうな親しみやすいキャラなので、彼のお陰で随分と読みやすくなるはずだ(好き)。

2.重要スキル SF小説を読み慣れていること

残念ながら…SFって私はあまり読まないジャンルなんだよなぁと、今回改めて思い知った。

SF要素が組み込まれた小説はたまに読むけれど、やはり本格的なSF小説とは次元が違う。

読み慣れないジャンルの本は、どうしたって咀嚼するのに時間がかかる。

前提条件にも展開にも慣れていないからだ。

しかもSF小説を読み慣れている人は、自然と『サイエンス』にあたる部分の知識が蓄積されている。

これはミステリー小説を読み慣れている人が話の展開を予測できることに似ているし、

警察小説を読み慣れている人が登場する警察官の階級を見て瞬時に階級の高さを理解できることに似ている(或いは所属する課を見ただけで取り扱う事件の種類がわかったりする)

予備知識が多くあり、不必要な疑問が少なければそれだけスムーズに物語に入り込むことができるのだ。

今回私にはそれがほとんど無かった。残念すぎる。

3.あったらいいスキル 中国に関する知識

そもそも【三体】は中国人の作家が生み出した小説であり、

舞台も中国が設定されている。

そして最初に書いたとおり、文化大革命のシーンから始まる。

文化大革命とは毛沢東時代に実際に起こった出来事だ。

中国の時代背景を知っている方が楽しめるのは間違いない。

そして中国という国の思想や価値観について、知っていることが多いほうが上記に書いた「不必要な疑問」が少なくて済む。

私は偶然にも直前に中国に関する本を読んでいたので、それが多少の助けになった。

 

それから登場人物の名前が全て中国語(当たり前)なのがまたとっつきにくい原因の一つとなっている。

ワンミャオ(汪淼)やダーシー(大史)はまだしも、ウェンジエ(文潔)なんて発音が慣れなさ過ぎる。

常にルビが振られているわけではないので、最初のうちは「あれ?なんて読むんだけ??」と焦ってページを遡ったりするのが手間だった。

ただまぁ…物語が長いのでこれに関しては段々慣れてくる。

いつの間にかルビがなくても登場人物たちの名前が自然に読めるようになっていた。

親切なもので、本書では登場人物の名前は日本語読みと中国読みが両方用意されている。

常偉思(チャン・ウェイスー/じょう・いし)のように。

私はせっかくなので中国読みの方で覚えることにしたけれど、それでも自然と漢字を見たら名前が出てくるようになった。

慣れとは不思議なものである。

どちらの読みを使うかは好みの問題なので好きな方を選べばよいと思う。

4.あったらいいスキル 天体物理の知識

そもそも小説のタイトルとなっている【三体】という言葉。

これは実際にある【三体問題】から引用されている。

物体が2つだと万有引力により規則的な動きをするけれど、これが3つ(以上)になると動きが不規則になり予測できなくなるらしい。

 

・・・・・。

 

むずかしいね???笑

 

まぁ読めばなんとなくわかる。笑

小説内で汪淼がプレイするVRゲームを通して、この現象をある程度読み手に理解させてくれる。

こういった物理の知識が元々あれば、きっとより面白くこの小説を読めたんだろうなぁと思った次第です、はい。

とは言えこんな高度な知識を十分に持っている人なんて少数派なはず。

だからこそ2つ目のスキルに書いた「SF小説の読み慣れ」が必要なのだ。

多少なりともこの溝を埋めてくれるはずである。

私は「三体問題」なんてこの小説で初めて知ったし、宇宙背景放射がなんたらと言われても「???」って感じだw

それどころか小説内に出てくるサイエンスが、どこまでがリアルでどこからがフィクションなのかも正確には理解できないww

そんな私が読んでも面白いのだから、【三体】は良質なSF小説と言わざるを得ない。

おまけ 三体問題を実際に目で見る

非常に興味深い動画を見つけたので最後に貼っておく。

三体問題がどんなものか、理解のヒントになるかもしれない。


www.youtube.com

物体が2つだと規則的な動きをしているのに、

3つになった途端動きがおかしくなっている。

そして時に衝突しているではないか。

これが太陽だったら…と考えると確かに恐ろしい。

そりゃ文明も何度だって滅びるよね…。

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!

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