Daydream

全ては泡沫のごとく、ただ溶けて消えていくだけ。。。

村上春樹さんの【ねじまき鳥クロニクル】はAudible(オーディブル)で藤木直人さんに朗読してもらうのがおすすめ


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ついに、私もデビューした。

 

村上春樹作品…!!

 

ねじまき鳥クロニクル 第一部 泥棒かささぎ

とは言え今回は文字で読んだわけではないのがポイント。

AmazonのAudible(オーディブル)で耳読したのである。

これが、想像以上に良かった…

村上春樹作品と私

まず、私はこれまでに村上春樹さんの作品を1つも読んだことがなかった。

避けていたわけではないのだけれど、特に興味を惹かれることもなかった。

そもそも私の周りに、村上春樹作品の愛読者がいないのだ。

メディアから入ってくる情報は賛否分かれるものばかり。

その上ノーベル文学賞の時期に偏っている。

私の中で、勝手なイメージばかりが膨らんでいった。

 

独特の文学を描くらしい。

タイトルはいくつか知っている。

あらすじは一つも知らない。

映像化されたものも1つも観たことがない。

ハルキストという言葉は知っている。

熱狂的なファンがいるらしい。

恐らく、私の好みではない。

 

世の中には数え切れないほどの本があって、

けれど私に読める本はごくわずかで。

そんな中、あえて手に取ろうとは思ったことが一度もなかった。

今までは。

藤木直人さんの朗読が神すぎた

Voicyをきっかけに、最近の私は耳からのインプットにハマっている。

生活の邪魔にならず、隙間をいい具合に埋めてくれて大変効率がよく気に入っている。

本を朗読してくれるAmazonのAudible(オーディブル)も、同じく私には相性が良かった。

そんな折、Audible(オーディブル)でおすすめにピックアップされていたのが本作だった。

多分、それだけならばこの本は選ばなかったのだけれど…(そもそもAudibleで小説を聞く気は最初からなかった)

朗読をしているのが藤木直人さんと記載されていたので、そこにどうしても興味を惹かれてしまったのだ。

まんまと制作者側の意図に絡め取られている。

しかしながらこれが大正解であった。

藤木直人さんは、老若男女、あらゆる登場人物たちの役を演じ分ける。

セリフを聞くだけで、誰が発した言葉なのかがわかるほどに。

笠原メイの台詞も、間宮中尉の台詞も、性別や年齢が全然違うのに違和感がまるでない。

そのおかげで、私は物語に入りすぎてなんたか眠れなくなってしまう時があった。

Audible(オーディブル)にはスリープタイマーという機能があって、これが案外便利なのである。

予め時間を設定しておけば、再生が勝手に終わる仕様になっているのだ。

私はいつも眠るときに本作を聴いていた。

加納クレタが耐えてきた苦痛について語られたとき、私はベッドの中で思わず背を丸めてお腹を抱えていた。

痛みがリアルに想像され、変な汗が出そうになった。

彼女が主人公の岡田亨に迫るシーンでは、聞いているこっちがドキドキしてしまった。

間宮中尉の長い話”では、眠るどころか心拍数が上がったりした。

惹き込まれすぎて、とてもじゃないけれど眠れるような状態ではなくなってしまったw

シナリオ(小説)が良いのか、朗読が良いのか、双方の相乗効果か。

とにかく色んな意味で心動かされるリスニング体験ができたのは間違いない。

小説のあらすじと主人公・岡田亨について

本書の主人公や、あらすじに焦点を当てて考えてみると、

なんだか説明し難い感情がこみ上げてくる。

主人公である岡田亨はあまりにも冴えない平凡すぎる男だし、

第一部を読了した現時点で、この本にわかりやすいストーリーは存在しない。

強いて言えば『岡田亨の日常』ということになるのだろうが…

いや、『平穏な日常が壊れていく様』と言うべきか。

しかし起こる事象は1つ1つが些細なものであり、

『平穏が壊れる』とは些か大袈裟な表現のような気がしないでもない。

30歳で仕事を辞め、無職になった男。

妻である久美子は編集者として働いているので生活が破綻する心配はなく、

目標も定まらないまま家事をして過ごしている。

むしろストーリーに抑揚をつけているのは、亨の周囲の人間たちだ。

主に女性だが、あまりにも個性が強すぎる。

妻の久美子、電話の謎の女、加納姉妹、笠原メイ。

この登場人物たちはそれぞれ独特で面白いのだけれど、

しかし現状はあくまでも独立した存在で、

個別に個性を放っているだけだ。

複雑な人間関係を織りなすわけでもなく、相関性も薄く、

登場すればインパクトで惹きつけるものの、

先への期待感はあまり生まれない。

そう考えるとこの小説を文字で読んだとき、

果たして私は最後まで苦痛なく(退屈せず)読み終えることが出来たのかは

少々の疑問だ。

ちなみに“間宮中尉の長い話”は非常に面白かった。

ここを単独で1つの作品にしても良かったのでは?と思うほど。

しかしながら現実はそうではないので、

この話を聞いた亨がどんな影響を受け、何か行動するのかを注視するしかない。

第一部はとても気になるところで終わっているので、

既に第二部も聴き始めている。

綿谷ノボルへの期待値が高まりつつ、

こうやって改めてブログに書いてみると、

やはり藤木直人さんの朗読の効果はかなり大きいのかも?

などと思ったりする。

どちらにせよ、Audible(オーディブル)で聴く作品に迷ったら、

ぜひ試しにチョイスしていただきたい。

非常におすすめである。

ちなみに、明るい雰囲気がまるでない全体の作風は私好みであった。

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れ様でした!