Daydream

全ては泡沫のごとく、ただ溶けて消えていくだけ。。。

自分を曲げずに突き進めるか!?【イレーナの帰還】


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「何かを決断するたび、誰かとかかわるたび、

一歩足を踏み出すたび、朝ベッドから出るたび、

人は危険を背負う。

生きていくには、その事実を受け入れないと。

自分だけは安全だという幻想にしがみつくのは間違いよ」

【イレーナの帰還】あらすじと見どころについて語る

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死刑宣告を受けながらも生き延びたイレーナは、故郷シティアに14年ぶりに戻ってきた。両親は涙ながらに娘を迎えるも、兄を始めとする他の者たちは、敵対国で育ったイレーナをあからさまに嫌悪し、密偵に違いないと疑う。またも四面楚歌となったイレーナに、さらなる危機と試練が。明らかになる14年前の真実と、2つの国に蠢く陰謀、そしてイレーナが生まれ持つ宿命とは? 

ブールビーの町で、瀕死状態の少女が見つかった。

被害者は、これで11人目。

これまで10人の被害者はいずれも遺体で見つかっており、トゥーラは唯一の生存者だった。

しかし殴られ、痛めつけられ、レイプされた彼女は心を閉ざし、魔術師範でも魂に接触することができない。

トゥーラの魂を、イレーナは見つけることができるのか。

そして一体、誰が、なんの目的でこの悲惨な事件を起こしているのか。

古い歴史の中に封印されたはずの儀式が引き起こす、恐ろしい事態とは…!?

 

【毒見師イレーナ】の続刊を早速読み切ったわけですが、改めて思い返しても、

びっくりするくらい息をつく暇もなく、あっという間に駆け抜けてしまいました。

イレーナの周りはなぜこんなにも落ち着かず、敵ばかりなのかと思う反面、

私は理不尽に過酷すぎるファンタジーを好む傾向にあるようだと改めて再確認した次第であります。

それでは、個人的に面白かったポイントを3つご紹介。

初めから全てが理不尽

そもそもは、14年前の誘拐事件から始まった。

シティアで家族とごく普通に暮らしていた少女は、6歳の時に突如イクシアへと連れ去られる。

記憶を封じ込められ、孤児として孤児院で育ち、ある程度の年齢になると、今度は孤児院からも連れ出された。

そこに明るい未来があればいいのに、待ち受けていたのは魔術を引き出すための拷問で。

日ごとエスカレートしていく拷問に耐えかねたイレーナはついに、自分を嬉々として嬲るレヤードを殺してしまう。

イクシアでは厳しく定められた『行動規範』により、殺人を犯せば絞首刑。犯行理由は考慮されることなく、例外はない。

しかし皮肉にもイレーナは『行動規範』に救われ、絞首台へと向かう途中で選択肢を得る。

今すぐ絞首刑か、最高司令官の毒見役になり毒を飲むか。

猛毒に耐え、レヤードの父親に命を狙われ、シティアの魔術師にも命を狙われ、紆余曲折あってようやく全てを退け、やっと故郷のシティアに帰れたと言うのに。

今度は『イクシアの密偵』と呼ばれ、故郷の人たちから爪弾きにされてしまう。

イレーナに与えられる選択肢はいつも少ない。選べるものが殆どない。

それなのに周囲はいつも、イレーナに敵意を向ける。

まるで彼女が、不幸の根源であるかのように。

イクシア領とシティア領の自治の違い

前巻で出てきたイクシアは、腐敗した王政を軍事クーデターでひっくり返した完全なる軍事国家であった。

北方の寒い土地。国を治めるのは最高司令官のアンブローズ。

彼は厳しい『行動規範』を定め、市民が道を外れないよう厳しく管理統制している。

成人は全員働かねばならず、働く者は制服を着なければならない。そのために身分は一目瞭然で。

贅沢は好まず、自他共に厳しく接し、平等であろうとする。

そして何より魔術を嫌い、その素質がある者はイクシアでは、まず間違いなく殺される。

一方南のシティアでは、民主主義のような形がとられていた。

各部族の代表者と魔術師範で構成された“議会”によって、政治が行われる。

シティアの道端で“物乞い”と遭遇したイレーナはひどく驚いていた。

すべての人に仕事が与えられ、生活必需品は最高司令官の軍隊が支給するイクシアでは、到底考えられない光景だからだ。

そして何より、この国では魔術が公に認められている。

完全に分断してしまった正反対の2国が、一体どのように国交を再開していくのか。

無償の愛を注ぐ両親と、明確な敵意を向けてくる兄

6歳の時に誘拐され、その後14年間行方不明となっていたイレーナがついに故郷に帰宅したとき、彼女の両親は涙ながらに喜んだ。

その様子は、イレーナ自身が戸惑うほど。

『どうしてわたしが娘だとわかるんですか?ずいぶん確信があるみたいだけど』

 6歳の少女と、20歳の女性。

その面影は、14年の時を経て結びつくものなのだろうか。

しかし父のイーザウは、その答えとして1冊の手帳をイレーナに渡す。

そこには、イレーナが彼の娘であるという、確かな証拠が描かれていた。

一方、兄であるリーフは両親と真逆の反応を示す。

『こいつは人を殺しているぞ。血の匂いがする』

初対面でのあからさまな嫌悪。

“家族”とひと括りにしがちだが、“親”と“兄妹”という立場は似て非なるもの。

通わす情が“無償の愛”ばかりではないところが妙にリアルで生々しい。

【ファンタジー】と聞くと一瞬ほのぼのしたものを思い浮かべそうになるけど、このシリーズはほのぼのポイントは一切なく、なんだか常に切羽詰まった感じで転がるように読み進んでしまいます。

 

個人的にちょっぴり残念だったのは、前半にほぼヴァレクの出番が無かったことでしょか。

貴重なときめきシーンが…ww

あと、何気に訳者の方が変更になっています。なぜだ…。

面白いことには変わりないけども。

 

そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。

お疲れさまでした!

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