Daydream

全ては泡沫のごとく、ただ溶けて消えていくだけ。。。

警察手帳を見せられても本物かどうか見分ける術がなくて捜査に協力できない


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『警視庁の者ですが』

そう言って男は、警察手帳を開いて見せてきた。

『ご協力頂きたいことがありまして…』

思わず顔を見上げるくらいには、背の高い男だった。

年は私と同じくらいか、少し若いくらいかも知れない。最近流行りの俳優みたいな顔をしている。

このカウンターで警察手帳を提示されるのは一体何度目だろう。よく考えれば稀な仕事をしているな、と思う。

その警察手帳は本物なのか?

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悲しいかな。今の御時世、提示された警察手帳さえ信用できない。

そんなものはいくらでも偽造できる。

そもそも、本物の警察手帳がわかる市民がどれほど居るというのか。

本物の警察手帳を、あなたは何度見たことがありますか?

何度も見せられてる警察手帳

私は仕事で警察官と関わることがある。稀な例だと思う。

警察手帳を提示されたことは数え切れないほどある。そんな私ですら、見せられても本物かどうかなんて見分けようがない。

そもそも警察手帳なんて、何回提示されてもじっくり見るようなものじゃないでしょう。

更に言うなら、プライベートでは警察手帳なんてものを提示されたことは一度たりとも無いと断言できる。だから大抵の人は、そもそも見る機会なんてほとんど無いんじゃないかと思う。

 

わかりやすいように具体的な例を挙げよう。

私が、港区白金にある医療機関に勤務するお姉さんだとする。

港区白金を管轄する警察署は高輪警察署だ。

すると私は仕事で、高輪警察署の“とある課”と関わらねばならない。

時々は私が高輪警察署を訪ね、署内をウロウロすることもある。逆に“とある課”の警察官たちが、私を訪ねてうちの医療機関に訪問してくることもある。

高輪警察署には沢山の警察官がいて大抵は知らない人たちばかりだが、“とある課”の決まった担当警官数人たちとは、ある程度の顔見知りとなる。

そんな感じ。

 

しかしながら本日の来客は、そもそも高輪警察署の警察官ではないと言う。

警視庁の、と言った。たしかに言った。

顔見知りなわけがないし、そもそも日常業務で訪ねてきたわけではないようだ。

 

本庁の警察官が医療機関に乗り込んできて情報を開示しろと言う。

この光景……最近どこかで見たような……??

事実は小説より奇なり

“小説よりも奇”かどうかは置いといて。

そうだ。先日再読したばかりの小説、ストロベリーナイトにこんなシーンがあったんだった。

 ガンテツ(刑事)が中央医科大学病院医局に乗り込み、精神科医の尾室と対面し、精神科病棟に入院している深沢由香里の情報を開示しろと詰め寄るシーンだ。

 現実に私が対面した警察官はガンテツより若くてイケメンで失礼もなく、物腰柔らかい青年だったわけだが、要求してくる内容はガンテツと大差ない。

こちらとしてはその要求にどこまで正当性があるか判別できない以上、情報を開示することはできないのだ。得体の知れない訪問者にペラペラと個人情報を喋るようでは、とても医療人など務まらない。

とは言え彼が本物の警察官で、情報開示が本当に必要なのであれば協力しないわけにはいかない。

“必要なら捜査令状を持ってきてください”と、尾室のように突っぱねることはあまりしたくない(尾室の場合はガンテツに腹が立ったせいも多分にあると思う)。

そもそも“警察手帳が本物かどうかわからない”などとブログでグチグチ言っているような人間が、捜査令状を見せれられたところで再び“本物かどうかわからない”と堂々巡りするだけなのはわかりきったことである。

その場で即答せず、少し時間をかけて確認する

現実的で、当然の流れと言える。

ちなみにだが高輪警察署との日常業務であれば私の担当であるのだが、今回は明らかに異例の事態。

私はただの現場の人間で、立ち塞がったイケメン警察官の向こうには沢山の患者が今か今かと自分の番を待っている。

正直イケメン警察官に割いている時間はこれっぽっちもないのである。

こういう“責任が重くて判断に時間のかかる問題”の処理方法は一択しかない。

 

“本社に投げる”

 

である。

 

これが最も合理的で的確な判断。

間違いない。

 

本社がどうやって判断したのかは知らないが、“本物であったため協力することになった”と、後に連絡が来た。

あぁ、そうですか(どーでもいい)。

私ならどう判断するか

その日の帰り道、私は少し考えた。

彼が本物の警視庁警察官であると確信するためには、どんな材料が必要なのだろう?と。

1番簡単で手っ取り早いのは、私の顔見知りの警察官と同行してくれることかと思う。

つまりは高輪警察署の“とある課”の警察官と一緒にきてくれれば、本物だと確信できた。まぁ現実的ではないのだろうが。

警視庁と警察署の警察官は、中々の別物らしいですし。

“身分証で確認する”というなら、私にとっては警察手帳よりも確実なものがある。

“健康保険証”だ。私がこの世で最も見慣れた身分証明書。

本庁に勤務する警察官(とその家族)が持つ保険証は、かなり見慣れたものだ。

警察手帳を提示してくれるよりも、運転免許証と健康保険証をセットで提示してくれた方が、よっぽど本物と確信できる。

ちょっと(?)マヌケな絵面だが、個人的にはこれが一番納得がいく。

あくまでも私個人に限った話だが。

でもまぁ、一般的にはあれだね。

警視庁の固定電話にこちらからかけて彼の身元と捜査内容を確認し、齟齬がないかを確かめる。

そんな感じか?

わからんけど。

こんな時、どういう判断をするのが1番スマートなのだろう。