- 陸の孤島
- 曰く付きの館
- 脅迫状
- 密室
- アリバイ
極めつけの、殺人事件。
ミステリーのテッパン要素が全て詰まっているのが、この綾辻行人さんの館シリーズ。
ミステリー好きにとってはもはや定番作品。
シリーズ第一弾の“十角館の殺人”が出版されてから30年以上経つというのに人気の根強さがすごい。
今回の“水車館の殺人”はシリーズ第二弾。
舞台は岡山県北部の山奥、巨大な三基の水車を携えた、塔のある屋敷。
【水車館の殺人】著者:綾辻行人
古城を思わせる異形の建物「水車館」の主人は、過去の事故で顔面を傷つけ、常に仮面をかぶる。そして妻は幽閉同然の美少女。ここにうさんくさい客たちが集まってきた時点から、惨劇の幕が開く!
密室から男が消失したことと、一年前の奇怪な殺人とは、どう関連するか?
脅威の仕掛けをひそませた野心作。
水車館に出入りしているのは・・・
- 顔面を傷つけて以来、仮面を被って過ごす車椅子の主人。藤沼紀一(41)
- 紀一の妻で、水車館の塔に幽閉された美少女。藤沼由里絵(19)
- 水車館の執事。倉本庄司(56)
- 水車館の通いの家政婦。野沢朋子(31)
わずか4人のみ。
しかし年に1度だけ、水車館に客人が招き入れられる日がある。
それは画家であった紀一の父、藤沼一成の命日だった。
王道ミステリー“水車館の殺人”のおもしろ要素
まずはこの見取り図。
前作・十角館の殺人の時もそうだったけど、館の見取り図ついてるのが凄くいい。テンション上がる。読みながら何度もこのページ見ちゃう。イメージが膨らみすぎて、気付くと前のめりになってる。
次に時系列。
水車館の殺人は、2つの事件が複雑に絡み合ってる。年に一度だけ、特定の客人が招き入れられる9月28日~29日。同じ場所、同じ日、ほぼ変わらない顔ぶれ。1年前におきた事件と、現在おこっている惨事。過去の回想と現在の惨事が交互に描かれ、最後は1つに収束する。美しい。
そして故人・藤沼一成(画家・紀一の父)。
“幻視者”であったとされる画家の一成。とっくに死んでいて無関係のはずなのに、全ての元凶とも言える。一成の作品を全て買い戻し、水車館に囲い込んだ息子の紀一。半年前に転がり込んできた一成の元弟子、正木。そして年に一度集まってくる客人たちは、一成作品の熱狂的な信者たち。幻視者であった一成が見たものは、一体なんだったのか。紀一が誰にも見せることなく、怯えるように隠した遺作“幻影群像”に描かれていたものとは?
シリーズとしての繋がり
例えば名探偵を主軸においた物語というのは、その周りで都合よく事件が頻発したりする。そしてその事件の一つ一つにスポットライトを当て、シリーズを連ねたりする。
しかし以前に私が、館シリーズ一作目である“十角館の殺人”を読んだ感じでは、事件を頻回に呼び込みそうな名探偵は見当たらなかった。
事件は解決してしまったし、メインとなっていた登場人物たちはその殆どが死んでしまったw ものの見事に全滅だったw
だからこのシリーズが一体どんな形で連なっていくのかが、1つの疑問として私の中に残った。
それとも毎回不可思議な館で事件がおこるという共通点だけで、ストーリー的には連動しないただの連作とか?とも考えた。
でもちゃんと繋がっていました。見覚えのある登場人物名がちゃんとありました(*´艸`*)そんなことが妙に嬉しくなりました。
作者のあとがきから1つだけ。
やはり今回の【館シリーズ】、一作目の十角館の殺人を書いた時点ではシリーズになる予定では無かったようです。
やっぱりね。そうですよね。
全然続きそうな雰囲気無かったもんねww
予定外にシリーズ化してこんな大作が生まれるのすごすぎる。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れさまでした!
※この記事は旧ブログにて2017.12.8に掲載した記事を、本書の再読にあたり加筆・修正したものです※