※この記事は2022/07/10に旧ブログから移転しました※
初めて百田尚樹さんの小説を読んだ時のお話。
短編集…いや、ショートショートなのかな。
短くて濃ゆいお話がぎゅっと詰まった一冊。
家族がテーマのある意味ホラーな物語集。
家族の怖い話【幸福な生活】著者:百田尚樹
「ご主人の欠点は浮気性」帰宅すると不倫相手が妻と談笑していた。
こんな夜遅くに、なぜ彼女が俺の家に?
二人の関係はバレたのか?
動揺する俺に彼女の行動はエスカレートする。
妻の目を盗みキスを迫る。
そしてボディタッチ。
彼女の目的は何か?
平穏な結婚生活を脅かす危機。
俺は切り抜ける手だてを必死に考えるが……(「夜の訪問者」より)。
愛する人の“秘密"を描く傑作集!
百田尚樹さんの話って、いつも尖ってるなー。
鋭く刺さって抜けなくなるのよね…。
読み方は大事。百田尚樹(ひゃくたなおき)さん
友人と本屋へ行った時のこと。
友人は、目当てにしていた『幸福な生活』をやっと見つけて、
とても嬉しそうにしていた。
「欲しくて探しておいてアレだけど…この作家さんのこと、今の今までずっと「ももた」さんだと思っていたの。でも「ひゃくた」さんだった!笑」
そりゃ見つからないわけだ。
小説は、大抵作家さん名の五十音順で並んでいる。
「も」と「ひ」は近いようで遠い。
本からめっきり離れた生活をしていた私は、
読み方以前に存在自体知らなかったけれども。
「『永遠の0』書いた人だよ」と言われて、それだけ理解した。
何はともあれ、友人の勘違いエピソードのおかげで私もしっかしインプット。
【「永遠の0」を書いた「ももた」と書いて「ひゃくた」さん】
放送作家兼小説家。ふむふむ。なるほどね。
どうしても欲しい本
「あのね、この本ね、短編集なの。あっさり読める話が沢山入ってて、少しずつ全部立ち読みしたんだけど、やっぱり欲しくなっちゃって」
笑顔で凄いことをサラリと言ってくれる友人。
マジかよ!全部立ち読みしたって!!作家もビックリだろ(笑)
そして全部立ち読みしたのに、
それでも尚、お金を出して買いたい本とは…?
私がビックリです。そんなに面白いのですか??
「あのね、正直口コミはそんなに凄くいいわけじゃなかったの。
悪いわけでもないんだけど…普通な感じ?
でも全部の話がね、最後の1行衝撃的でちょっと怖いの。
こうやって、ペラッとめくったところにラストの1行があるんだけど…。
また読みたくなる感じ。読みやすくてスグにサラッと読めるから。今度貸してあげるね!!」
そんな経緯を経て、私の手元にやってきた本書。
なんだか生暖かい内容そうなタイトルと表紙なんだけど。
中身はだいぶイメージが違う。
ミステリーというかホラーというか、意味が分かるとゾッとする感じ。
内容以前に物理的な面で凄いと思う
収録されている短編たちは構成が統一されている。
- オチは最後の1行
- 最後の1行は、ページをめくったその先に。
こうやって文章を書いているとわかるけれど、
内容を簡潔にまとめるって難しい。
更に決まった文字数できっちり収めるとか、至難の業に見えるのですが。
それをやってのけているのが凄い。
夫婦や親子、主に家族がテーマ
『幸福な生活』
借りて持ち帰ったこの本を見て、私の彼氏が鼻で笑いました。
まぁ理解できる。
この本のタイトルから想像するに、なんだかアラサー独身女子が読むには滑稽な内容が思い浮かびませんか?
言われてみれば思い浮かびますよね?
だけど内容は全然違います。
幸福に思えた自分の生活の真実
これがテーマです。
爽やかな読後感を望む人にはおすすめしません。
ストーリーによっては最後の1行で鳥肌が立ちます。
いくつも収録されているので全部が全部そうではないですが。
個人的にはタイトルに反して、独身女性におすすめです。
ホラーやサスペンスが好きな人限定ですが。
しかもスッキリしないやつ。
【家庭】というものを築いた人には笑えない部分もあり。
他人事として笑える独身者の方が、素直に楽しめるような気がしました。
家庭をもつのが嫌になるかも知れないけれどw
一つ一つにきっちりオチがついているので、長編小説が苦手な人は特に読みやすくていいと思います。
それにしても…幸福とは脆いものだなww 他人に依存した幸福は尚更である。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れ様でした!