『麒麟は天意の器にすぎません。かえして言えば、麒麟に意志などありはしない。ただ天の意志が通り抜けていくだけ』
それはなんだか不可思議なことのように思う。麒麟を知れば知るほどに…。
【風の海 迷宮の岸】十二国記シリーズepi:2
【魔性の子】を読んだ身としては、待ってましたと言わんばかりの物語。
高里要の失った記憶。神隠しの秘密。
彼が行方不明の間、何が起こっていたのか。彼は一体、何を忘れてしまったのか。
その秘密が暴かれる。
反面【月の影影の海】を読了直後の身としては、少しばかり虚を突かれたような気がしなくもない。
ついに慶王が践祚し、これからどのような国を作っていくのか。
国造りはさぁこれからだと思ったその矢先、時間軸は別のところへ飛んでしまった。
【風の海 迷宮の岸】あらすじ
世界の中央に黄海がある。
海といっても水はない。そこで流れてゆくものは時と風ばかり。そのほかには果てのない砂漠と果てのない樹海と、あるいは一面の沼地が、あるいは一連の岩山がひろがるばかりの土地である。
そんな黄海の周りを、海と十二の国が、まるで幾何学模様のように取り囲んでいる。
国の名前は、柳・雁・慶・巧・奏・才・範・恭・戴・舜・漣・芳。
本作はこの中のどの国でもなくて、世界の中心部、黄海での物語。
戴国の麒麟、泰麒もそのはずだった…。
麒麟は王を選び、王にお仕えする神獣。金の果実として蓬山の木に実り、親はいない。かわりに、女怪はその実が孵る日までの十月を、かたときも離れず、守り続けるはずだった。しかし、大地が鳴り、大気が歪む蝕が起きたとき、金の実は流されてしまった!
それから十年。探しあてた実は、蓬萊で“人”として生まれ育っていた。戴国の王を選ぶため連れ戻されたが、麒麟に姿を変える術さえ持たぬ泰麒。幼い少年の葛藤が始まる。
麒麟はどのように生まれ、どのように育てられるのか。どのように成長し、どのように王を選ぶのか。
麒麟の心情の移り変わりが細やかに描かれている。
前作【月の影影の海】とのつながり
【月の影影の海】でも景麒は王を選んだはずだったけど…。ドサクサに紛れすぎていてイマイチよくわからなかった。そもそも景麒の目線ではなかったし。
今度は王目線ではなく、麒麟目線で描かれている。
本作にも景麒が登場するので必見。少し意外な一面を見ることができる。
それから延王と延麒も…。
さすが玉座に五百年君臨するだけあって、時系列がどこに移動してもどこにでも出てくるw
どこにでも出てきて、いつでも変わらない二人に癒やされる(*´ω`*)
天啓とは何か。麒麟はどのように王を選ぶのか。
罪悪感に苛まれ、それでも跪き、泰麒は誰を王にするのか。
はぁ…。目が離せないっ!
新潮文庫は上下巻じゃないんだね。ホワイトハートは文字数少ないんだなぁ…。
どちらにせよ、面白すぎてあっという間に読み終わる。
そんな感じで、本日ワタクシからは以上でございます。
お疲れさまでした!
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