Daydream

全ては泡沫のごとく、ただ溶けて消えていくだけ。。。

連休前のとある週末


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土曜日の待合室はその様相がガラリと変わる。

平日は暇そうな老人たちばかりを相手にしているが、土曜日は30代~50代の働き盛りの患者がメインとなるからだ。

連休前のとある週末、私の1日。

仕事

老人たちは加齢と共に自己中心的になる。

周囲が見えなくなり、自分だけが最優先となり、思い込みも激しくなり人の意見を聞かなくなる。

これはこれでそれなりに厄介なのだが、働き盛りの下の世代がマトモなのかと言えばそうでもない。

常日頃からストレスを抱えている人や、自分よりも若い相手に横柄な態度をとるのが当然のようになっている人もいる。

【患者】という存在は、世代を問わず厄介であることに変わりはない。

もちろん無難にやり過ごす人や礼儀正しい人、愛想が良かったり品のある人もいることにはいるけれど、まぁ精々半分~2/3くらいというところだろう。

【接客】という業種として考えるなら、【病院の待合室】というのは【客層が悪い】部類に入ると思う。

生活保護から上級国民まで、等しく受け入れなければならないのだから。

日々トラブルの多い職場であることは間違いない。

土曜日というのは労働者の駆け込み受診が多い曜日だ。

連休初日となればその数は更に増える。

午前診だけだというのに、15時まで働いてしまった。

忙しくてお昼休憩は無し。立派な社畜であると自覚した。

この仕事を特別嫌っているわけではないが、好いているわけでもない。

長年携わっている業種だから慣れていて楽という意味で、気に入ってはいるけれど。

帰りのタイムカードを押す瞬間はとても好き。外がまだ明るければ尚良い。

至福の解放感。

白衣を脱いで、私服に着替え、身なりを整える。

地味な仕事着から春服に着替えるワクワク感は、この季節特有のものだと思う。

美容院

今日は美容院の予約をしている。

中途半端に伸びた髪が、肩にあたって当たり前のようにハネるのが気に入らない。

日々のストレスになるので、そういう時はプロに頼るに限る。

本当はバッサリ切ってしまいたのだけど、やはりバレエをやる以上はシニヨンにしたい。

前回の舞台直後にコロナが流行り、当分舞台に立つことはないだろうとバッサリ切ったが、そろそろ次の舞台に備えて伸ばし始めたい。

世間はいつの間にかGWに突入していて、美容院は空いてるだろうと予測していたが甘かった。

普段の土曜日以上に混んでいる。

『混んでるね…』

少し引き気味に私が言うと、担当の美容師は『まぁね』と得意げだった。

『今日どうする?』

『ハネるんだよね』

『だろうね…。伸ばす?』

『伸ばすけど、多少切ってもいい』

『おけ』

短い会話だけで、シャンプー台に送られる。

通いにくい場所にあるこの美容院に10年以上通い続けているのは、この担当の美容師を気に入っているからに他ならない。

私の曖昧な要求を聞いて、あとは勝手にやってくれるのがいい。

短くしたい時も、長くしたい時も、彼のセンスに任せて不満を感じたことはほぼない。

今回も満足。

『1番切ったところで3センチくらいかな』

合わせ鏡で後ろ姿を見せながら、どんな風に切ったのかや、新しい髪型のブローのコツなどを説明してくれる。

私の髪が、みっともない外ハネから、内巻きに変わっている。

素晴らしい。

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プロがブローしたから内巻きになっているだけなのでは?とちょっと疑ったけど、

翌日の朝もちゃんと私の髪はストレートだった。

寝起きで外ハネの自分の髪を見るストレスからやっと解放された。

面倒がらずにもっと早く行けばよかった。

『お昼食べた?』

『食べてない…仕事忙しくて』

『なんだ、お昼何食べたか聞こうと思ったのに。俺と一緒じゃん』

今日に限って言えば彼の方が悲惨である。

私はすでに退勤しているけれど、私の髪を切ってくれた彼はまだ仕事中。

店内を見るに、閉店まで食事にはありつけないだろうことは想像できる。

カフェ

彼には申し訳ないけれど、私はプライベートの時間なのでいい加減食事をしようと思う。

7時に朝食を食べたきりで、お腹が減った…。

お昼を抜いて早めの夕食といったところになるのか。

オムライスとパンケーキがセットになったプレートを頼む。

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時間が時間なので、コーヒーはカフェインレスのものにした。

生まれて初めてのカフェインレスコーヒーは、意外と美味しかった。

普段、遅い時間にはコーヒーを飲まないようにしているのだけれど、今日はどうしてもコーヒーが飲みたい気分だった。

カフェインレスだとコーヒーを飲む意味がないと今までは思っていたけれど、このクオリティなら自分を騙せるような気がする。

基本はカフェインがないと嫌だけど、いざという時はこういう逃げ道があると覚えておこうと思った。

カフェも中々の混み具合だ。

ネットサーフィンをしたり、窓際の席だったので、ぼんやりと窓の外を眺めながら人間観察などをした。

そのうちに、天気予報通り天候が荒れ始める。

昼の晴れ間が嘘のように、風と雨が吹き荒れる。

傘を必死に抑え、足を早める人々を他人事のように眺めた。

ガラスの向こう側は、まるで別世界のようだった。

立ち上がるのがますます億劫になる。

本当は別世界などではない。

コロナのせいで店という店の閉店時間は異様に早く、私もいつまでもここにはいられない。

しばらく雨音を愉しんだあと、意を決して外の世界に出ることにした。

道すがら

元々が内向的で引きこもるのが大好きな性格にプラスして、今はコロナ禍という特殊なご時世。

私の引きこもりにも普段以上に拍車がかかっている。

数少ない友人と会う機会も随分と減り、外食なんて滅多にしなくなってしまった。

食事は元から自炊派なので、今や外食なんて月1程度だ。

ましてや一人で外食なんて…半年以上はしていなかったと思う。

足元に冷たい雨を感じながら、コンビニの前でふと思い出す。

そういえば、失くしていたジッポが出てきたんだった…。

先日の断捨離で、紛失したと長らく思っていたジッポがついに発掘された。

多分、禁煙した時に自分で仕舞い込んだんだと思うけど。

その後数年経って、すっかり行方がわからなくなっていたのだ。

当たり前のように火はもう点かなくなっていたので、オイルを買わねばと思っていたのだった。

そのまま煌々と明るいファミリーマートに吸い寄せられる。

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オイルと、念のためフリントも一緒に購入。

何しろ数年クローゼットに埋もれていたジッポなので、フリントもどうなっているのか怪しかったから。

禁煙中とは言え、今でも年に数本は吸う。

楽しいとき、辛いとき、どちらにせよ自分へのご褒美みたいなものだ。

ブックオフ

天気は悪くても久しぶりの外出は気分が良い。

新しい服やコスメが欲しい気もしたけれど、さすがに少し疲れてもいる。

女の買い物は体力勝負だ。

もっと癒やされる買い物をしたいと思い、足は結局ブックオフへ向いた。

私の大好きなブックオフ。こんなに癒やされる場所はない。

普段通っているお店とは別の店舗なのがまたいいのである。

あまり一人では出歩かない私だけれど、本屋だけは一人で行きたい。

1時間でも、2時間でも、いくらでも楽しく過ごせる。

他人を気にせず、ずっと本棚を物色していたいのだ。

今回の戦利品は、こんな感じ。

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あまり一気に買いすぎると、重くなるので注意しなければならない。

左の3冊は本棚から気になって手にとったもの。

真ん中はツイッターのTLで面白いと複数の人が話題にしていて気になっていたもの。

右の3冊は前から欲しかったもの。

とても満足。

パンドラとサークルは藤堂比奈子シリーズの番外編。死神女史の話、めっちゃ読みたかったやつ。

シェイクスピアの悲劇も、一度は読んでみたいと思っていたやつ。

どれも読むの楽しみすぎる。

帰宅

案の定というべきか、ブックオフではかなりの時間を費やした。

もはや帰る以外の選択肢はなくなり、大人しく帰路についた。

家に帰って、パンプスを脱いでビックリである。

両足の親指に、巨大な水ぶくれができていた。

足がめちゃくちゃ痛い。

しかもそこは、先日の水ぶくれがやっと治りかけた場所で。

前回の豆が潰れて、古い皮がまだぶら下がっている場所だった。

女性は歩くだけでこんなにも消耗する。

中々大変な生き物だ。

そして当然のように、夜中になって空腹に襲われた。

昼食を抜き、早い時間に夕飯を済ませたせいだ。

しかもカフェでの食事なんて…。大食いの私に足りるわけもなく。

暗闇で自分のお腹の音を聞きなが就寝した。